エリア・カザンの孫が語るジョス・ウェドン脚本の話題の新作!
映画『アベンジャーズ』のジョス・ウェドンが脚本執筆した独立系映画『イン・ユア・アイズ(原題) / In Your Eyes』について、主演ゾーイ・カザンとマイケル・スタール=デヴィッドがトライベッカ映画祭(Tribeca Film Festival 2014)で語った。
本作は、東海岸で医者の夫と平凡に暮らす妻レベッカ(ゾーイ)は、ある日ニューメキシコ州に住む前科者ディラン(マイケル)の視界と声が突如自分の頭脳に飛び込んできて驚くが、ディランもまたレベッカと同様の特殊能力を持つことを知り、お互いが惹(ひ)かれていくというドラマ。映画『バトル・オブ・ザ・イヤー ダンス世界決戦』のブリン・ヒルがメガホンを取った。
ジェス・ウェドンの脚本について「キャラクターを通して人を観察する点と、距離の離れた男女が惹かれ合っていく姿に興味を持った。構成のさまざまな箇所に展開の勢いがあって、観客をどんどん引き込んでいく作品は、普段僕がオファーされる脚本と違って珍しかった」とマイケルが評価すると、ゾーイは「キャラクターの頭の中にある人物が目の前に居ない設定はまれだし、どう演じてよいかわからなかった。通常、自分が演じる役はある程度推測できるけれど、わからないことが挑戦になると思った」と異例の脚本を気に入ったようだ。
レベッカと医者の夫の関係も興味深い。「彼女は夫が支配する古い価値観のもとで長い間過ごしてきたから、夫との関係もパートナーというより押さえつける親子関係みたいなの。ただ、レベッカがそんな関係はもう必要ないというところまでは来ていない。ところが、抑えていた遊び心と強さがディランを知ることで芽生えてくるの」とゾーイが語ったように、いつの間にか三角関係になっていく設定も面白い。
トライベッカ映画祭のプレミアと同時に、今作はネットでも世界同時封切りを行った。「わたしの家族の多くは田舎にいて、わたしが出演する独立系作品が公開されることがなく、わたしの作品を映画館で観たことがないの。ケーブル・チャンネルやビデオ・オン・デマンドでようやく鑑賞できるようになるといつも興奮していた。だから、こうやって映画祭と同時に鑑賞できるのはクールだし、すぐにファンに届けられるのも素晴らしいわ」とゾーイが答えた。
映画は、二人が特殊能力を得たことで、お互いが違う観点で物事を見たり、異性の感情に気付いたりするなど、二人の関係を真摯(しんし)でさらにロマンチックに描いた作品だ。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)