注目の若手俳優ジャック・オコンネルが語る究極の刑務所の世界を描いた話題作とは?
アンジェリーナ・ジョリーの監督作『アンブロークン(原題) / Unbroken』で主演を務める注目の若手俳優ジャック・オコンネルが、話題の新作『スタード・アップ(原題)/ Starred Up』についてトライベッカ映画祭(Tribeca Film Festival 2014)で語った。
ジャック・オコンネル出演映画『THIS IS ENGLAND』場面写真
本作は、少年犯罪者の拘留所から刑務所に送られてきた不良少年エリック(ジャック・オコンネル)は、感情が抑えきれず囚人と喧嘩ばかりしていたため、刑務所のセラピスト、オリヴァー(ルパート・フレンド)が、囚人の重鎮でエリックの父親ネヴィル(ベン・メンデルソーン)と接触させることを決意するドラマ。映画『愛とセックスとセレブリティ』のデヴィッド・マッケンジーがメガホンを取った。
ジョナサン・アッサーの脚本について「実はルパートのオリヴァー役こそが、ジョナサンがセラピストとして行っていたことなんだ。だから、真実味のある刑務所の環境が脚本には記されていた。特に英国では刑務所を描いたドキュメンタリーさえ少ないため、公共から閉ざされた刑務所の環境を、囚人たちを通して観察しながら、その世界にアイデンティティーを与えた本作は素晴らしいと思った」と感想を述べ、さらにジョナサンが確認のためセットを訪れていたことも明かした。
父親役の演技派俳優ベン・メンデルソーンとの共演について「撮影は4週間行われたが、僕らには事前に1週間のリハーサル期間があった。そのため、親子という親密な関係(最初は疎遠な設定)をベンと演じるうえで、自分に必要な準備や共演者への敬意は理解していた。実際のベンは称賛すべき人物で人からも好かれやすく、演技上では僕が予知できない(脚本以上の)ことを演技で示してくれて、それに救われたシーンもあった」と語った。
今作に主演し、刑務所の環境に驚かされたことは「英国のような国でも、刑務所内での不正行為があることは事前に理解していたし、囚人同士でも犯罪的行為が行われていることはわかっていた。でも現在の刑務所は、テロリスト関連でイスラム教の囚人が多いことや、そのテロリズムによって脚本家のジョナサンが行っていた刑務所のセラピスト・プログラムのようものが(更なるテロ行為の危険性から)無くなってしまっているらしい」と多くのことを学んだそうだ。
映画は、刑務所の内情を克明に描くだけでなく、圧倒的な演技からジャック・オコンネルのスター性を見事に感じさせる秀作だ。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)