フランソワ・トリュフォーのミューズ、ファニー・アルダンの主演の映画とは?
ヌーヴェルバーグの巨匠フランソワ・トリュフォーのミューズとして活躍してきたファニー・アルダンが、新作『麗しき日々』についてマリオン・ヴェルヌー監督と共にトライベッカ映画祭(Tribeca Film Festival 2014)で語った。
同作は、2人の娘を結婚させ、長年連れ添った夫フィリップとマンネリな生活を送っていたカロリーヌ(ファニー・アルダン)は、ある日地元のカルチャースクールでコンピューターを教える若い男性教師ジュリアン(ロラン・ラフィット)と知り会い不倫関係になるが、その関係を通して自身の価値を見いだしていくというドラマ。監督は、映画『ありふれた愛のおはなし』のマリオン・ヴェルヌーがメガホンを取った。
今作のベースとなった作家ファニー・シェネルの原作についてマリオンは「実はファニー(・シェネル)の原作は悲劇的に描かれ、カロリーヌも罪悪感にかられているの。さらにジュリアンは母親と妻を失い(映画内では全く違う)、自分を見失っている設定で、まるで少年のように描かれていた。そんな少年っぽいところがわたしは気に入らなくて、映画内ではタバコを吸っているシーンやセックスシーンを加えたわ(笑)」と語ったが、このように原作の内容を変更できたのも、ファニー・シェネルが直接脚本家として参加していたからだ。
通常、悲劇になりやすいアメリカの不倫映画と違い、明るいトーンで描かれているのは「カロリーヌとジュリアンはお互い年齢の離れた異性に好奇心を持っていて、立場上でも平等なの。それに彼らは二人とも、過去を現在に持ち込まない。そんな姿勢がお互いの好奇心をそそり、映画自体も明るいトーンに仕上がっている」とマリオンが語ったように、泥沼状態の不倫映画の固定観念から外れている。
カロリーヌの性格についてファニーは「カロリーヌは母親、女性、愛人、妻なの。それに彼女は夫を愛し、子供も愛していて、決して自暴自棄になって男性と会ってセックスする女性ではない。とても知的な女性でもあって、聡明(そうめい)なジュリアンに惹かれ、生きることに価値を見いだしていくの。今作では、不倫をポジティブに描いていることに意味があると思ったわ」と答えた通り、彼女は難しいシーンにも体当たりで挑戦している。
映画は、年齢がいくつになろうと人生を謳歌(おうか)しようとする女性に捧げた作品。本作は日本ではすでにWOWOWで放映され、5月2日よりDVD発売されている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)