ミシェル・ゴンドリー監督、フィリップ・K・ディック「ユービック」の映画化を断念か
映画『エターナル・サンシャイン』『グリーン・ホーネット』などでおなじみのミシェル・ゴンドリー監督が、自身が企画していたフィリップ・K・ディックの小説「ユービック」の映画化の製作を中止するとフランスのTelerama誌が伝えた。
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本作は、フィリップ・K・ディックの遺産管理をする彼の娘イゾルデ・フレイア・ディックの許可の下、ゴンドリー監督が2011年から企画していた作品。しかしこのたび、このインタビューを訳したEmpireによると、ゴンドリー監督は「原作は素晴らしいが、あくまで文学としてだ。これまで数人の脚本家が脚色したが、現時点では製作する気にはなれない。傑作をつくるためのドラマ構成がなかったからだ。そんな脚本を受けた際に僕は少し落胆してしまい、それで終わりだと思った。(映画化は)夢だったが、人生においては自分の欲することができないこともある」とコメントし、製作を断念したことを明かした。
3年前に企画された時点では、映画『マネーボール』『ドラゴン・タトゥーの女』のスティーヴン・ザイリアンがプロデューサーとして参加し、遺産管理をするイゾルデは独立系映画作品として製作する予定だったとのこと。最終的にイゾルデは「原作の真のメッセージが、脚本に欠けていたのがこの企画の大きな失敗」と語っている。
しかし、この報道の2日後に、ゴンドリー監督のもとを訪れたDen of Geekによると、ゴンドリー監督は「僕はまだよく分からない。ただ、今でも『ユービック』の映画化に取り組んではいる」「しかし、僕の次の映画になるとは言えないな。次の映画は、フランスを旅する子供たちの物語になるんだ」と語っているようだ。今のところ、ゴンドリー監督による「ユービック」映画化の可能性は、完全に消えてはいない。(細木信宏/Nobuhiro Hosoki)