岩井俊二、「なぞの転校生」最終話の未公開シーン存在の理由とは?
映画監督の岩井俊二が企画プロデュース・脚本を手掛けた連続ドラマ「なぞの転校生」(テレビ東京系)のブルーレイ&DVDボックスリリース記念イベントが9日、都内で行われ、テレビ未放送版の最終話を含む全12話が上映された。イベントには岩井をはじめ、監督の長澤雅彦、中村蒼演じる主人公の父役を務めた高野浩幸も出席し、制作の裏話などを笑顔で明かした。
本作は眉村卓の名作ジュブナイル小説が原作。とある高校に現れた、謎めいた転校生(本郷奏多)が、ある事件をきっかけにSFオタクの同級生、岩田広一(中村)に自身の秘密を明かしたことで物語が展開していく。未発表シーンは、撮影中に台本を変更し、最終話が倍の長さになったことで生まれたといい、岩井は「オチのところ、ラスト10分くらい。(脚本の)1稿が物足りないと思っていた」と振り返る。
「そこまで(アイデアは)見えているんだけど、喉がつかえたような感じになっていた」という岩井。撮影が始まってしばらくして、周囲から「最終話、(広一の)お母さんは出ているけど、高野さん(お父さん)は出ていないね」と言われ「それでひらめいた」と急きょ脚本を書き直したという。
その結果が現場にもたらした混乱を岩井は、「予想以上に現場が固まってしまって」と苦笑いで述懐。結果として放送時間も延びることになり、今回のソフト化で、改めて放送できなかったシーンを公開する運びになったのだという。
そんなタイトな撮影スケジュールをうかがわせるエピソードに長澤監督は、岩井作品ということで「クオリティーを落とせない」というプレッシャーもあり「監督をやって10年。はじめて『これ、俺にできるのだろうか』という恐怖感に襲われた。今、こうして皆さんと一緒に作品を観ることができて正直ホッとしている」としみじみ。1975年にNHK少年ドラマシリーズとして放送された「なぞの転校生」で主演を務めた高野も、「中学3年生で出させていただき、またこうして呼んでいただけて本当に感無量。自分の中でパラレルワールドに陥った感じ。不思議な感じがしました」と笑顔で語っていた。(取材・文 名鹿祥史)
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