スパイク・ジョーンズ監督が来日!AIとのラブストーリーを描く難しさを語る
映画『her/世界でひとつの彼女』で第86回アカデミー賞脚本賞を受賞したスパイク・ジョーンズ監督が28日、Apple Store 銀座で開催された「Meet the Filmmaker」に出席し、日本公開を間近に控えた同作の見どころや製作秘話などを大いに語った。
スパイク・ジョーンズ監督がApple Store 銀座に!フォトギャラリー
「Meet the Filmmaker」とは、第一線で活躍する映像作家の生の声を聞くことができるトークイベント。これまで山田洋次、是枝裕和、石井裕也など名だたる監督が参加している。4年半ぶりの来日を果たしたジョーンズ監督最新作はAI(人工知能)と恋に落ちる男性を描いた異色のラブストーリーとあって、会場に駆け付けたファンも興味津々の様子。
作品のアイデアについてジョーンズ監督は「構想は10年前からあったが、人とテクノロジーとの関係性について描きたかったわけではない。あくまでも、複雑な現代社会の中で愛する人と通じ合うことの難しさを描くための設定なんだ」と強調。さらに「主人公のセオドア(ホアキン・フェニックス)とAIのサマンサ(スカーレット・ヨハンソン)との関係性をしっかり描くことはチャレンジだった。ポイントは、サマンサが発する言語が、受け手であるセオドアの表情によって視覚化させること」と声だけでラブストーリーを成立させることの難しさを説いた。
また、今回、セックスシンボルともいわれるスカーレットを声だけで起用したことについてジョーンズ監督は、「彼女は肉体的なものを取り除いても、自分をしっかり持っている女優。複雑で奥深く、物語の中で成長していくサマンサ役にふさわしいと思った」と絶賛。キャラクターについては「サマンサのモデルとなった人物がいたわけではないが、自分自身がどこかに反映されていると思う。それは全てのキャラクターにも言えることだけどね」と明かした。
なお、この日は衣装を担当したケイシー・ストームも登壇し、1920年代を意識した劇中のファッションについて熱弁を振るうも、ジョーンズ監督にムチャブリされて、突然ラップを披露するひと幕も。さらにジョーンズ監督は「この中でつらい別れ話をできる人!」と会場のファンにもムチャブリし、挙手した女性をインタビューするという自由人ぶりを発揮していた。(取材:坂田正樹)
映画『her/世界でひとつの彼女』は6月28日より新宿ピカデリーほかにて全国公開