セクシーな女スパイが人気の理由とは?
かつて映画やドラマに登場するスパイといえば、強くてハンサムでダンディーな男性が一般的だったが、近年は強くて美人でセクシーな女スパイが目立つ。そこで、盛り上がりつつある女スパイの人気の秘密を検証してみた。
映画における女スパイの歴史は古い。戦前には大女優マレーネ・ディートリッヒ主演の傑作『間諜X27』などがあったし、戦後のスパイ映画ブームの火付け役「007シリーズ」でも美しき女スパイたちがボンドガールとして脚光を浴びてきた。しかし一部の例外を除いて、その大半がヒーローの色添え的な役割に甘んじていたことは否めないだろう。
だが、香港映画などの影響で女優にも本格的なアクション演技が求められるようになった1990年代以降、男も顔負けの強い女スパイが急増。特に最近は格闘家ジーナ・カラーノを起用した『エージェント・マロリー』を筆頭に、明晰(めいせき)な頭脳と強靭(きょうじん)な肉体を持つヒロインたちが映画界を席巻している。一方、テレビドラマでは「おしゃれ(秘)探偵」のエマ・ピールや「地上最強の美女! バイオニック・ジェミー」のジェミー・ソマーズなど、早い時期からパワフルな女スパイたちが活躍。近年では「エイリアス」のカルト的な人気をきっかけに、「NIKITA / ニキータ」や「コバート・アフェア」などの女スパイ物が相次いでヒットしている。
なぜ女スパイがこれほど根強い人気があるのか。まずは、女だてらに屈強な男たちを打ち負かす強さ、そして黒いジャンプスーツなどのファッションに身を包んだセクシーさ。強くて美しい女性に憧れる男性のフェティシズム的な欲求に応えるだけでなく、自分もああなりたいという女性のヒロイン願望も満たしてくれるのだろう。
また、ファイナルシーズンで追われる身となりながらも、愛する男性や仲間のため自らの疑いを晴らそうと巨大権力に挑む「NIKITA / ニキータ」のように、女性ならではの母性愛的な優しさや繊細さもファンの共感を集めるポイントかもしれない。今後も映画やドラマでどのような女スパイが活躍してくれるのか、大いに期待したいところだ。(文・なかざわひでゆき)
「NIKITA / ニキータ<ファイナル・シーズン>コンプリート・ボックス」ブルーレイ(1枚組)4,790円(税抜き)、DVD(3枚組)3,790円(税抜き)はワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメントより6月4日(水)発売