台湾の鬼才ツァイ・ミンリャン監督、渋谷で新作映画のチケット手売りを宣言!
昨年9月の第70回ベネチア国際映画祭で映画監督引退を表明した台湾の鬼才ツァイ・ミンリャン監督と、俳優のリー・カンションが16日夜、渋谷のシアター・イメージフォーラムで開催された映画『河』(1997)の特別上映会に出席し、女優の片桐はいりを含む日本のファンと触れ合った。二人が組んだ傑作『河』は、日本での上映権が切れておりかつ未DVD化。この日はその作品が、今回限りとなる35ミリフィルムで上映される貴重な機会ということで、会場は熱心なファンで埋まった。
引退を決意した理由の一つに、体調の問題もあると報じられていたツァイ監督。集まった観客に向け「実はわたしたち2人とも、病気を患っての来日となりました。シャオカン(ツァイ監督作でのリーの役名)は1か月前に軽い脳梗塞に。わたしも長い間、名前は不明なのですが、病気を患っています」と明かす。
しかしその後は、日本で当時『河』を配給したユーロスペースの情熱に感激した話、ツァイ監督が手掛けた舞台や短編映画の話、リーが女優の波多野結衣との共演作を台湾で撮影予定であることなど、興味深いエピソードの数々を披露。病気であることを感じさせない、熱のこもった語り口で会場を魅了した。
また新作映画『郊遊<ピクニック>』の日本公開を控えるツァイ監督は、「わたしが台湾で、何で一番有名かわかりますか?」と会場に質問。「新作が出るたびに、わたしとシャオカンは(映画の)前売りの切符をポケットに入れて台湾の街頭に立ち、道行く人に売り続けてきたのです。ですから、新作が上映されるころになると、友人たちはわたしの電話に出なくなります」と笑顔でコメント。さらに日本でも2人が「人間立て看板」姿で街頭に立ち、前売り券を販売することを発表した。
そして最後にツァイ監督は「実は今、日本のある映画制作会社から一緒に映画を作ろうと企画をいただいています。でもまだ答えを出していません。(監督復帰は)この映画(『郊遊<ピクニック>』)が日本でヒットするかどうかにかかっているわけです。ですから前売り券を買ってくださいね」とジョークを交えて呼び掛けた。(取材・文:壬生智裕)
映画『郊遊<ピクニック>』は8月下旬よりシアター・イメージフォーラムにて公開予定(19日まで、夜18時半から45分の間、劇場前で2人が前売券を手売り販売予定)