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『春を背負って』木村大作監督、過酷な山での撮影に挑む理由とは

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観客一人一人とのつながりを大事にする木村大作監督
観客一人一人とのつながりを大事にする木村大作監督

 大ヒットを記録した映画『劔岳 点の記』に続き、再び立山連峰での撮影に挑んだ映画『春を背負って』が公開された木村大作監督が、映画に懸ける情熱を語った。

映画『春を背負って』フォトギャラリー

 木村監督が2年ぶりに挑んだ本作は、暴力や殺人を描く作品も多い最近の映画界で、悪人が一人も出てこない、古き良き日本の作品を思い起こさせる温かな作品。木村監督は「殺人のドラマは書きやすい。悪人を一人も出さずに物語を紡ぐっていうのは、逆に難しい。でも自分はそういう映画を観たいと思わないから、悪を出さないようにプレッシャーをかけているんだ」と話す。

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 「爽やかな物語を撮るときに、山というのはとてもすがすがしくて素晴らしい舞台」と語る木村監督は、今作でも前作と同じ立山連峰にて撮影を敢行。だが山での撮影は過酷そのもの。撮影の準備を含め、役者たちの約2倍となる13回も山に登ったという。木村監督は「僕のルーツは映画『八甲田山』。最初から楽して映画を撮ろうと思っていたら山で映画を撮らない」と明かしていた。

 「賞だとか、そういうものには興味がないんだ。一番うれしいのはお客さんからの感想だね」とこぼした木村監督は、試写会に来た観客からもらった手紙を覚えているとのこと。「善良な人々の、善良な行いを素直に見せてくださりありがとうございました。映画を観て感動しました。という文章でね。その手紙をもらって以来、僕は善良な映画という言葉を宣伝やインタビューでもずいぶんと使っているんですよ」。それだけ観客からの言葉がうれしかったという。

 公開前から自分の車に本作のポスターを張り、47都道府県を自走して回ったという木村監督。1万枚を超える名刺を刷り、試写会では一人一人に手渡していた。「名刺には、木村大作が映画『春を背負って』にかける情熱を、毎日10人を目標に熱く伝えることと書いてある。僕がこの映画に懸けている思いが少しでも多くの人に伝わればうれしいんです」と笑顔を浮かべた。

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 木村監督の情熱は役者をも動かし、主演を務める松山ケンイチ蒼井優、そして豊川悦司は忙しいスケジュールを縫って本作のPR活動に積極的に参加。「映画は観てもらわなければ価値がない。とにかく一人でも多くの人に観てもらって、爽やかな気持ちになってもらいたいと思います」と木村監督は笑顔を浮かべていた。御年74歳、日本映画の名監督に愛された名カメラマンは、今もなおこの上ない情熱と愛を映画に注ぎ続けている。(編集部・森田真帆)

映画『春を背負って』は全国東宝系にて公開中

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