夏樹陽子、震災映画への出演を台本読まず即答!
21日、日本の原子力政策と東京電力への怒りを込めて製作された劇映画『あいときぼうのまち』が初日を迎え、都内・テアトル新宿で行われた舞台あいさつに主演の夏樹陽子ほか、大谷亮介、千葉美紅、黒田耕平、沖正人、大島葉子、里見瑶子、伊藤大翔、杉山裕右ら俳優陣が勢ぞろい。さらに菅乃廣監督、脚本家の井上淳一も駆け付け、映画への熱い思いをそれぞれの言葉で語った。
本作は、原子力エネルギーに翻弄(ほんろう)され続けた福島のある家族の4世代70年にわたる葛藤の日々を描いた壮大な人間ドラマ。1945年、1966年、2011年、2012年という4つの時勢を交差させ、戦時中のウラン採掘、原子力発電所建設への反対運動、そして東日本大震災と福島第一原発の事故という、原子力エネルギーをめぐる数々の出来事に傷つき、絶望しながらも生きていこうとする人々の姿を描く。
福島県出身の菅乃監督は、「この映画は、大企業が作ったものではなく、個人の有志たちによって作ったような作品。厳しい条件の中、夏樹陽子さんをはじめ素晴らしいキャストに恵まれ、一流のベテランスタッフの方々も集まっていただき、自分としては心から満足できる作品になりました」と語り、このプロジェクトに力を貸してくれた面々に感謝の意を述べた。
これに対して主演を務めた夏樹は、「3.11以来、わたしなりに何ができるかと、支援物資を送ったり、寄付をしたり、いろんなことをさせていただきましたが、やはり、わたしは俳優なので、この思いを映画としてカタチにしたいと思い始めました。そんな時に菅乃監督からこのお話をいただき、台本も読まずに即答しました」と出演の経緯を明かした。
ところが現地に行ってみると、見ると聞くとでは大違いで、責任の重さに不安を感じたという夏樹は、「果たして地元の方々の心を大事にしつつ、完成することができるのか、ということを考え始めました。でも、現地の方々から『この映画を作ってくださってありがとう。こちらこそお礼を言いたい』という言葉を聞くことができて、とてもうれしかったです。この思いが全国に広がって、皆さんの幸せにつながってくれたらと願っています」と笑顔を浮かべた。(取材:坂田正樹)
映画『あいときぼうのまち』はテアトル新宿で公開中 全国順次公開