父と娘の禁断の愛描く『私の男』、モスクワ上映で海外記者が白熱!
現地時間21日、第36回モスクワ国際映画祭で、コンペティション部門に正式出品されている浅野忠信・二階堂ふみ主演作『私の男』の公式上映と記者会見が行われた。現地ではメガホンを取った熊切和嘉監督が登壇。禁断の愛を描く内容に、海外のメディアからは、称賛の声と共に監督のモラルを問うユニークな質問も飛び出した。
同作は、作家・桜庭一樹のベストセラー小説を原作に、孤児となった少女(二階堂)と彼女を引き取ることになった男(浅野)による、禁断の愛を描き出すラブストーリー。浅野と二階堂は、すでに別作品の撮影に入っていため映画祭には参加できず、熊切監督のみ現地入り。上映と会見に臨んだ。
上映は盛況の内に終了したものの、記者会見では、父と娘の禁断の関係を描いた内容に対して、宗教倫理に厳しいロシアの記者たちから「どんな家庭環境で育ったのか? どんな宗教教育を受けて育ったのか?」など、熊切監督自身のモラルを問う声が数多く飛び交った。
その一方、フランス人ジャーナリストからは「監督は、豊かな映画言語を持っている。こんなに美しく残酷な愛の本質を描いた映画を他に知らない」と絶賛の声も。また、モラルの問題だけに言及する質問に対して「映画の本質を見ていない」と支持を表明する記者もいるなど、世界各国の倫理観や宗教観の違いが浮き彫りになり、「問題作をつくる」と本作に挑んだ監督の思いを体現した会見になったといえそうだ。
最後には「今映画祭中、最も挑発的な映画だと思う」という声も上がっており、現地時間28日に行われる授賞式の結果にも期待ができそうだ。(編集部・入倉功一)
映画『私の男』は新宿ピカデリーほかにて全国公開中