井上真央、“興味本位ではできない”声優に初挑戦した理由
やなせたかしさんが取り組んだ「復興3部作」の完結編となるシリーズ第26作の映画『それいけ!アンパンマン りんごぼうやとみんなの願い』で、井上真央が初めて声優に挑戦した。「声優は自分にとって一番ハードルが高いと思っていた」という彼女はなぜ出演を決意したのだろうか。
映画『それいけ!アンパンマン りんごぼうやとみんなの願い』写真ギャラリー
「花より男子」シリーズで注目を浴びた井上は、朝ドラでヒロインを務め、映画『八日目の蝉』では第35回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。2015年の大河ドラマ「花燃ゆ」で主演することも発表されており、あらゆる仕事を経験してきたように思われる彼女だが、意外にも声優は未経験の分野だった。「ご縁があったらやりたいなと思っていたけれど、本業の声優の方々がいらっしゃるのだから、『やりたいな』でできる仕事ではないと思っていました。全身で表現する俳優と、声だけで表現する声優の仕事は別物。興味本位でできるものではないので」と声優という仕事に対して独自の観点を明かした。
そんな井上が出演を決意したのは「アンパンマンのマーチ」がつないだ縁があったから。震災後に出演したラジオで、大好きな「アンパンマンのマーチ」を流したことをきっかけに、NHKスペシャル「みんなの夢まもるため~やなせたかし“アンパンマン人生”~」のナレーションを務めた井上。またその番組が本作のオファーをされるきっかけにもなった。
「声優の経験もないですし、復興3部作を締めくくる作品というプレッシャーもあったので、本業の声優さんがやられたほうがいいんじゃないかなとも思いました。でも、頂いた台本に込められたやなせさんのメッセージにグッときたので、純粋に『がんばろう!』と思えたんです」と本作に強く共感したことも語っていた。
事前にもらった映像を見ながら台本を音読し、ヒーローに憧れるりんごぼうやが敵と戦うシーンでは、微妙な息遣いの違いを台本に書き込み、本人いわく「コソ練」を重ねたという。高いハードルを跳ぶために努力を怠らない、井上の真面目さは、初挑戦した声優としての演技からも伝わってくるに違いない。(取材・文:須永貴子)
映画『それいけ!アンパンマン りんごぼうやとみんなの願い』は7月5日より全国公開