インド合作映画『めぐり逢わせのお弁当』監督が来日!インド映画に必要なのは「ありのままの姿」
ヨーロッパ各国で異例の大ヒットを記録したインド・フランス・ドイツ合作映画『めぐり逢わせのお弁当』のリテーシュ・バトラ監督が30日、京橋テアトル試写室で行われた来日ティーチインイベントに登場し、観客からの質問に答えた。
監督のイケメンコメントに、観客もノックアウト!フォトギャラリー
冷え切った夫の愛情を取り戻すために、主婦のイラが腕を振るった弁当が、男やもめの男性サージャンのもとに間違えて届けられたことから生まれた交流を描き出した本作。映画を鑑賞したばかりの観客の前に現れたバトラ監督は「ようやくこの映画が日本で公開されることになりました。わたしは日本食が大好きなので、ぜひ日本に訪れたいと思ったんです」と穏やかな口調であいさつ。
顔を合わせない劇中の2人が手紙を通じて心を通わせていくことを踏まえ、「セリフが自然と入ってきたし、手紙の文章も素晴らしかった。この言葉を考えたのは監督?」と観客が問い掛けると、「映画は観た人の人生を投影して、その方のものになります。今回は自分で脚本を手掛けましたけど、すごく良かったと感じてもらえたのは、わたしの手柄ではなく、観客のあなたのおかげなのです」と返すバトラ監督。その言葉に、会場から思わず「かっこいい……」とため息が漏れる一幕もあった。
また影響を受けた映画監督として、小津安二郎、イングマール・ベルイマン、ルイ・マル、アッバス・キアロスタミ、そしてインド人監督のサタジット・レイ、グル・ダットなどの名前を挙げるバトラ監督。「彼らは自分たちの住む土地を舞台に素晴らしい作品を作っている。あふれる才能があるのに、それを見せびらかすことなく、物語を紡いでいる。僕も彼らのように精進したい」とコメントした。
さらに「もちろん僕もボリウッド映画は大好きです。でも、インドは人口が多いにもかかわらず、日本映画やフランス映画のような存在感が示せていないと思っている」と切り出したバトラ監督は、「やはり映画はその土地特有のものを撮るからこそ普遍性を持つことができる。われわれが自分の国の姿を誇りに思い、皆さんにありのままの姿を伝えたいと思うようになれた日からインド映画の道が開けると思っています。ですからわたしはインド映画に非常に明るい希望を持っています」と真っすぐなまなざしで語った。(取材・文:壬生智裕)
映画『めぐり逢わせのお弁当』は8月9日よりシネスイッチ銀座ほか全国公開