マリアナ海溝の深淵部に単独で潜ったジェームズ・キャメロンが語る、映画『アバター』の続編との接点は?
ジェームズ・キャメロン監督が、自らマリアナ海溝の最深部に潜った映像を捉えた話題のドキュメンタリー映画『ジェームズ・キャメロンズ・ディープシー・チャレンジ・3D(原題) / James Cameron's Deepsea Challenge 3D』について語った。
本作は、最新鋭の深海艇を設計し、数度のテスト期間を経て、2012年3月に深さ1万1,000メートル以上になるマリアナ海溝の最深部を単独で潜水し、新生物を含めた貴重な映像を捉えたもの。監督はジョン・ブルーノ、レイ・クイント、アンドリュー・ワイトが担当。
まず、生命の危険を伴う挑戦をしたことについて「子供の頃にジャック=イヴ・クストーの深海探索映像をテレビで観て、それに感化されて16歳の時に(ライセンスを取得して)スキューバダイバーになった。今ではそれほど珍しくないが、当時のカナダの田舎町では珍しかった。その頃から、僕は海に潜ることに親近感を持っていたんだ。そして、そんな体験をした僕は、後に映画『アビス』を製作し、それがステップとなって映画『タイタニック』でタイタニック号の探索に発展していき、そのままずっと海の深淵に惹(ひ)かれ続けている」と明かした。
マリアナ海溝の最深部チャレンジャー海淵に達した時は「さまざまな心境になった。なぜなら7年間の準備過程を経て、ようやく深淵部に達して、やっとひと安心できたからね。それは自分だけでなく、この深海艇をデザインしたロン・アレン、テスト段階から撮影に関わったエンジニアたち、そして主要の20名近いクルーの協力を得て、この地球上で最も遠い場所に来たからでもある。それに現在、火星にも探査機がオペレートしている時代になっても、このチャレンジャー海淵を訪れることができたのは、僕を含め2回だけだからね(1回目は、1962年に調査船スペンサー・ベアード号が10,915mを測定している)」と振り返った。
今回のこの探索は、これから手掛けることになる映画『アバター』の続編に反映されるのか、との質問に「『アバター』の続編を優れた作品にするために、地球上で最も困難な場所を探索したわけではないんだ。もちろん、人々が『アバター』の続編と深海の探索の接点を結びつけようとするのは自然なことだが、実はそれは逆なんだ。僕が映画を製作するのは、こういった探索をするための資金が必要だからだ」と答えた。
映画は、深海の映像が眼前に迫る3D映像とジェームズ・キャメロンの情熱に圧倒される作品だ。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)