桃井かおり、新人監督から「すれてますよ」と言われたい
女優の桃井かおりが15日、都内で行われた映画『FORMA-フォルマ-』公開記念トークイベントに出席、本作で長編デビューを果たした新鋭・坂本あゆみ監督の才能を絶賛した。
これまで国内外問わず数々の映画に出演し、2006年には『無花果の顔』で監督デビューを果たした桃井が、世界の映画祭で称賛されている本作に深く感銘を受けたことから開催された本トークショー。この日集まった大勢の観客に向かって「わたし、こんな顔して(トークショーに)出ているけど、この映画には全然出ていないのよ」と桃井節でぶちまけ、一気に会場を和ませた。
24分間の長回しによるクライマックスシーンなどが高い評価を受けた本作。桃井も「許されないくらい長いカットがある。わたしも自分の(映画の)カットは相当長いなと思っているし、俳優として、いくら回されても大丈夫だと思っているけど、それにしても長い」と笑わせながらも、「監督が作る世界に入り込むために、このリズムをたたき込んでください、という映画なのね。3か所くらい『ん?』というところがあるけど、それを超えると熱が下がる感じで、ストーリーに導かれていく。そして振り返ってみると、あの長さに意味があることがわかる。あの時間に慣れた人へのご褒美の時間がやってくるの」と解説。
さらに本作における、俳優の内面から生み出されたような、予測不能な自然な演技を「査定されていない芝居」と評して絶賛する桃井。「わたし、監督の映画に出たいのよ。わたし、監督からいろいろ言われたい。『ちょっと芝居が全然違いますよ、長く現場をやってすれてますよ、桃井さん』とかね。絶対に文句を言わないでちゃんとやります、ギャラもいりません」とジョーク交じりに殊勝なコメントを発する桃井に、会場からは拍手が。
そして最後に「この映画は脚本もいいし、監督、俳優もいい。カメラの品性もある。だからわたしもこの場にいるわけだけど、お客さんが入ってくれないと次回作が撮れないんです。せっかくの才能だから、皆さんの力で育ててください」と会場に呼び掛けていた。(取材・文:壬生智裕)
映画『FORMA-フォルマ-』は8月16日よりユーロスペースほか全国順次公開