父親から巨額の遺産を相続!「MAD MEN」のクリエイターの長編初監督作はコメディー!
人気テレビシリーズ「MAD MEN マッドメン」を手掛けたクリエイターのマシュー・ワイナーが、初監督として手掛けた長編作品『アー・ユー・ヒア(原題) / Are You Here』について語った。
本作は、天気予報士として働くスティーヴ(オーウェン・ウィルソン)は、親友ベン(ザック・ガリフィナーキス)の疎遠だった父親が亡くなったことで、落ち込むベンを気遣い彼の実家に同行するが、ベンが巨額の遺産を父親から相続していたことで、欲深いベンの妹(エイミー・ポーラー)と父親の若い妻に関わり始めていくというコメディー作品。
今作の製作のきっかけは「この企画は9年前から始まった。ジャンルや形式を気にせず、70年代の社会を意識したリアルな作品を製作したかった。それと、自分の周りに起きている問題やテクノロジーの発達、さらに僕は結婚し子供ができたことで、男友達との交流を無くしてしまい、そこで何が男友達をつなげるのか僕自身が知りたくなって、スティーヴとベンを描くことになった」と明かし、さらに「MAD MEN マッドメン」の成功が今作の製作を可能にしたことも付け加えた。
オーウェン演じるスティーヴが、個性的で面白いキャラクターだ。「スティーヴはある意味無干渉な男で、酒飲みでドラッグ依存、さらに女性と接しても強い感情を全く持たない。こんなタイプの男を僕はハリウッドでよく見てきた。ところが、そんなスティーヴが親友の問題に関わったことで、これまでの行いを改めようとするんだ」と説明し、さらにベンとの関係について「彼らはお互いに精神的成長の欠如によって、むしろお互いが支え合う関係だが、ストーリーの構成はハル・アシュビー作品のように先に何が起きるか全くわからなくなっている」と語る通り、予想のつかぬ展開が待ち受けている。
今作で伝えたかったことは「僕は、ずっと今作を処女作品にしたいと思っていた。映画内で起きていることは、現在起きていることとして観客に共鳴し、さらに観客は何が美しく、何が醜いかに気付くことになると思っている。もし、今作の製作にもう少し時間を掛けていたら、時代遅れの作品になっていただろう」と、タイムリーな題材であることを語った。
映画は、遺産をめぐって真の家族や友人とのつながりを知ることになる主人公二人の関係が魅力の作品。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)