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インドネシア大量虐殺を再現したドキュメンタリー監督、新作で被害者家族を追う

第71回ベネチア国際映画祭

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映画を通して政府と戦っていきたい  - ジョシュア・オッペンハイマー監督
映画を通して政府と戦っていきたい - ジョシュア・オッペンハイマー監督

 第71回ベネチア国際映画祭コンペティション部門に出品されている『ルック・オブ・サイレンス(原題) / The Look of Silence』の公式会見が現地時間28日に行われ、ジョシュア・オッペンハイマー監督が長年にわたって撮影した本作への思いを語った。

前作『アクト・オブ・キリング』場面写真

 1960年代、インドネシアでひそかに行われた100万人規模の大量虐殺の加害者たちにカメラを向け、その再現をさせながら彼らの胸中や虐殺の実態に迫った長編ドキュメンタリー映画『アクト・オブ・キリング』で世界中から注目を浴びたオッペンハイマー監督が、本作で焦点を絞ったのは被害者家族。『アクト・オブ・キリング』撮影中に監督が出会った、大量虐殺当時に息子を政府に殺された一家の様子をカメラが追う。

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 前作で政府の虐殺を暴いたことで現地の軍関係者などから脅迫されるようになったというオッペンハイマー監督だが「この映画を作るにあたって危険なことはないのですか?」と質問されると、「たぶんまだ彼らはこの映画の存在を知りません。でもこうしてベネチア映画祭で上映された。きっと彼らの知るところとなるでしょうね」と返答。

 「そこまでの危険を冒してまで、あなたを突き動かしたものは何だったのか?」という問いには「この映画を通して、真実をきちんと伝えたかったんです」ときっぱり。「『アクト・オブ・キリング』がベルリン国際映画祭で賞を受賞し、そしてアカデミー賞にノミネートまでされた。そこまでいくとようやくインドネシア政府も認めざるを得なくなって、最終的には虐殺を認める公式声明を出しました。世界中のいろいろな方々が、虐殺の事実を知るきっかけになることが一番大事なんです」と映画製作の意義をかみしめた。

 殺しの凶行を再現させた前作から、逆の立場で被害者側に立ってみたとき「大きな力に対して諦めることの怖さ」を感じたというオッペンハイマー監督は、「映画を通して政府と戦っていきたい」と語った。(編集部・森田真帆)

第71回ベネチア国際映画祭は現地時間9月6日まで開催

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