周防正行監督が絶賛、長谷川博己ら俳優の歌の力
映画『舞妓はレディ』で監督を務めた周防正行と、舞妓を目指すヒロイン春子役の上白石萌音、そして、田舎育ちの春子の手助けをする言語学者役の長谷川博己が、ミュージカルシーンを作る上での熱い思いを語った。
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「『Shall we ダンス?』を撮影していたとき、ダンス経験のなかった役者さんたちが、いかに魅力的な踊りを作り上げてくれるかということを目の当たりにして、『魅せる』ことにたけた役者の力を信じたいと思うようになった。だから今回、役者さんたちが歌うことに何も不安はなかったんです」と周防監督。確かにこの映画では多くの役者たちが歌唱シーンに挑んでいる。
長谷川も堂々とした歌声を披露しているが、「もともと歌は好きなんです。でも最近は知り合いのミュージシャンから歌わないほうがいいのでは? と言われていまして。自分では下手なつもりはなかったので、ちょっとショックでしたね(笑)」と照れ笑い。本作ではヒロインの春子に、言語学者として京言葉を教える場面が歌になっているが、ミュージカルスターばりに歌う姿には何ともいえない魅力がある。「これをキッカケに歌を練習したいという気持ちになりました」とのことで、今後も楽しみだ。
800人もの応募者の中から春子役に選ばれた上白石は、本作が初の主演作だが、冒頭にてその伸びやかな歌声で観客の心をつかむ。初めて歌うシーンは事前に歌声を収録せず、なんと同時録音で撮影することになったが、見事に1テイク目でOKを出してみせた。「今でも気が付くと一日中歌っていたなんてことがあります」と言うほど、とにかく子供の頃から歌うのは大好きだったそうだが、今回一番難しかった劇中歌は『これが恋?』という曲。長谷川演じる言語学者の「センセ」こと京野への思いをつづった歌だが、「今、思い出してもドキドキしてしまう歌で、感情が乗りすぎて高音が出なくなるんです。そうなると悔しいし。何度も何度も練習しました」と、おっとりして見えるが、実はかなりの負けず嫌い。泣くシーンの撮影で一度しか泣けず、そんな自分にイライラして大号泣したこともあったそうだ。
他にも富司純子が『緋牡丹博徒』以来の歌にチャレンジしていたり、高嶋政宏、草刈民代、竹中直人、田畑智子などが、それぞれ持ち前の個性を生かした歌声を聞かせている。周防監督は「“この役者さんがこんなふうに歌うのか!”と楽しんでほしい。皆さん歌手とは違う歌の力があります。役者の底力を見てほしいですね」と語り、一日も早くこの自信作を観客に届けたい様子だった。(取材・文:横森文)
映画『舞妓はレディ』は9月13日より全国東宝系にて公開