「吉田調書」と「3号機」にも言及!震災時の内閣官房副長官・福山哲郎氏が福島原発を振り返る
東日本大震災直後の混乱の中、菅直人内閣の事故対応を間近で目撃してきた元・内閣官房副長官で現・民主党政調会長の福山哲郎氏が23日、都内・ポレポレ東中野で開催中の「福島映像祭2014」でプレミア上映されたドキュメンタリー映画『無知の知』のトークショーに出席。本作の監督を務めた石田朝也と福島第一原子力発電所の事故当時と現況について熱く語った。
第2回となる本映像祭は、福島原発事故の風化を防ぐことを目的に、福島の現状を映し出したあらゆる映像作品を紹介しようというもの。今回上映された『無知の知』は、原発の知識を持たない石田監督が、福島原発事故について、さまざまな関係者に突撃インタビューを決行し、原発や放射能の問題に迫り、エネルギーの可能性と日本の未来にも触れていく。
本編にも登場した福山氏は、原発事故当時について、「何より、事実が重要だと思いました。最初に頭をよぎり、恐れたのは、メルトダウン、ないしはチェルノブイリ型の爆発。とにかく住民の皆さんに1秒でも早く、1キロでも遠く避難していただいて、被爆者を出さない状況を作ろうと必死でした。ただ、東京電力とのコミュニケーションギャップ、これは実態としてありましたね」と振り返る。
そうした経緯を加味しながら福山氏は、「最初にこの映画を観た時、原発推進なのか、脱原発なのか、どっち付かずの印象を持ってしまったのですが、これが現状なんですね。つまり、石田監督が現地を見たままの事実。大切なのは、福島に残り続ける選択、避難される選択、いろいろな状況に置かれている方々が取られる『選択』を見て、皆さんがどう思われるのか、という問題提起が監督の中にあったと思う」と分析した。
また、福島第一原発の3号機は核爆発ではないのか? という観客からの直球の質問に対して福山氏は、「まさに『吉田調書』の誤報道問題に関わってくるところですね。3月15日(2011年)の9時50分頃、わたしも東電に乗り込んでいるのですが、その時に爆発音が鳴り、放射線量が最大になりました。(3号機の爆発は)現状では水素爆発という判断ですが、メルトダウンしている状況は認識しています。ただ、まだ見えないところはたくさんある」と、明言は避けた。(取材:坂田正樹)
「福島映像祭2014」は今月26日までポレポレ東中野、スペース&カフェ ポレポレ坐にて開催
映画『無知の知』は11月1日よりポレポレ東中野にて公開