『人間と猿の惑星』にもなり得た!『猿の惑星』新作が描く未来への可能性
映画『猿の惑星』の新シリーズ2作目『猿の惑星:新世紀(ライジング)』は、高評価を獲得した1作目以上に絶賛され、世界中で大ヒットを記録している。監督を務めたのは『クローバーフィールド/HAKAISHA』『モールス』で知られるマット・リーヴス。「子供のころ、『猿の惑星』に夢中で、すごく猿になりたかった」と言うリーヴス監督が、本作にかける思いを語った。
「僕が大ファンだった1968年のオリジナル映画は、猿が支配する世界を描いた。前作『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』は『人間の惑星』(が舞台)で、どのように猿たちが知性を手に入れたかを描いていた。そして今作では、世界が『人間と猿の惑星』になり得たかもしれないと語っている。とてもエキサイティングだったよ。もし、違う解決法が見つかっていれば、全く違う世界になっていたかもしれないんだ」。
前作の10年後を描く今作の冒頭では、サンフランシスコ郊外の森の中で、平和に暮らしている猿たちの美しいコロニーが登場する。「最初の20分間では、猿たちの世界や彼らの関係、何が彼らにとって重要なのかといったことが描かれる。前作で反乱を統率したシーザーは、もう革命児ではなく、2人の子供がいる家長となっている。そこに突然、人間たちが現れ、猿と人間、どちらにとっても最も大事なものが危険にさらされることになるんだ」。
シーザーが前作で「ノー!」と初めて言葉を発する場面は、観客に大きな衝撃を与えたが、今作での猿たちのコミュニケーション手段は、手話と言語の両方だ。撮影に入る前に息子が生まれたというリーヴス監督は、子供の発育の専門家と話をして、脚本の中の言語を作り上げた。「全ての動物たちと同様に、猿たちは言葉を使わずに多くのことを伝達し合える。でも、それ以上のコミュニケーションのレベルがあり、それには別の表現が必要とされる。それが手話なんだ。さらに、あまりに感情が高ぶって、肉体的な表現が十分じゃなくなると、原始的な言葉が出てくる」。
映画史上に残る名作『猿の惑星』の前日譚(たん)であるがゆえに、誰もが結末を知っている本シリーズ。リーヴス監督は、「このシリーズは神話みたいなもので、興味深いのは、そこへどうやって行き着くのか、ということだ」と語る。彼の続投が発表された3作目を、今から楽しみにしたい。(吉川優子)
映画『猿の惑星:新世紀(ライジング)』は全国公開中