「PFFアワード2014」グランプリは37歳女性監督!早川千絵『ナイアガラ』
25日、若手映画監督の登竜門として知られる「PFFアワード2014」の授賞式が東京国立近代美術館フィルムセンターで行われ、東京都出身で37歳の早川千絵監督が手掛けた作品『ナイアガラ』がグランプリに輝いた。
「PFF(ぴあフィルムフェスティバル)」は今年で36回目を迎える映画祭で、今回は応募総数528作品の中から厳正な審査を通過した21作品が入選。その中から、最終審査員を務める成宮寛貴(俳優)、内田けんじ(映画監督)、ヤン・ヨンヒ(映画監督)、森重晃(プロデューサー)、柳島克己(撮影監督)の5名が、グランプリ(1作品)、準グランプリ(1作品)、審査員特別賞(3作品)を選定した。
『ナイアガラ』は18歳になって初めて祖父母の存在を知った少女が主人公のヒューマンドラマ。祖父は死刑囚、祖母は認知症というつらい事実を、驚きも落胆もせずに受け止める前向きな少女の姿を27分で描いている。入選作品全体の傾向を「なんとなく、喪失感や日常から離れた、アンバランスになる作品が多かった」と解説した内田監督は、本作について「主人公が喪失感丸出しでアンバランスになりまくっていいはずなのに、すごく安定している不思議な映画で。新鮮な感動が一番ありました」と評価した。
グランプリの栄誉に輝いた早川監督は、壇上で「びっくりしています」と驚きを隠せない様子で、「スタッフを集めて役者さんにお願いして(映画を)撮るのは初めてだったので、こんなふうに評価していただいて本当にうれしいです。これからも真摯(しんし)に映画を作っていきたいと思います」と喜びを語った。
また、総評で成宮は「新しい監督さんからすごく刺激を受けて、また俳優として仕事ができるなと思いました。ありがとうございます」とコメント。森重プロデューサーは近年の若手監督が、あまり映画を観ない傾向にあることに触れて「(審査を通じて)人の映画を観ていないなと感じたので、もっと先輩の映画を観て」と厳しくエールを送っていた。(中村好伸)
■PFFアワード2014受賞結果一覧
グランプリ:『ナイアガラ』(早川千絵監督)
準グランプリ:『乱波』(中島悠喜監督)
審査員特別賞:『埋み火』(山内季子監督)、『モーターズ』(渡辺大知監督)、『人に非ず』(矢川健吾監督)
エンタテインメント賞(ホリプロ賞): 『独裁者、古賀。』(飯塚俊光監督)
ジェムストーン賞(日活賞):『ネオ桃太郎』(小田学監督)
映画ファン賞(ぴあ映画生活賞):『ガンバレとかうるせぇ』(佐藤快磨監督)
観客賞:『ガンバレとかうるせぇ』(佐藤快磨監督)
日本映画ペンクラブ賞:『波伝谷に生きる人びと』(我妻和樹監督)