シングルマザーの女性兵士を描いた話題作とは?
映画『ミッション:8ミニッツ』のミシェル・モナハンが、新作『フォート・ブリス(原題) / Fort Bliss』について語った。
ミシェル・モナハン出演映画『ミッション:8ミニッツ』フォトギャラリー
本作は、アフガニスタンで米軍医務官として従軍したシングルマザーのマギー(ミシェル・モナハン)は、帰還後に元夫リチャード(ロン・リヴィングストン)とガールフレンドのもとに預けていた5歳の息子ポールと再び暮らし始めるが、帰還後も軍曹として若い兵士を教育しながら、離れていた息子との絆を取り戻そうとするドラマ。女流監督クローディア・メイヤーがメガホンを取った。
男性の帰還兵を描いた映画は多いが、女性でしかもシングルマザーという設定は少ないことについて「このような主人公の映画は、現在のわたしたちの文化には欠如している。でも現実には、約20万人もの女性が米軍に居て、そのうちの40%は母親なの。女性でも国に仕えることに情熱を燃やし、その仕事を全うしている人たちもたくさん居る。でもそういった女性は、世間から、子供を置き去りにして国に仕えるのかという、悪い母親のレッテルを貼られるの。一方で同じことを男性が行うと、名誉と評価される。そんな男女差が、わたしを今作の出演に駆り立てたわ」と出演経緯も明かした。
役柄への準備について「クローディア監督は真実味のある映画にするという意図を国務省に伝え、許可を得たことで米軍基地のあるフォートブリスで実際に撮影ができた。それがわたしたちに大きな情報源となったの。その中には、議論を呼ぶ米軍内の問題も含まれていたけれど、そういった話も含めて米軍の人たちは、自分たちの話を知ってほしかったと思う。そしてわたし自身も実際にフォートブリス基地に行き、医務官として仕事を学び、さらに女性兵士からの話も聞けたの」と語った。米軍の協力がよりリアルな人間関係を映し出している。
元夫リチャードとマギーの関係について「彼女はこれが2度目の帰還で、1度目の帰還後に夫の浮気で離婚して、5歳の息子とは人生の3分の1しか会えていない状態なの。そのため元夫リチャードも(内面で)さまざまな葛藤をしてきて、再びマギーが戦地に向かうことにも当然反対している。でも、マギーは現在も軍曹として部下に頼られている存在だから、任務と家族の問題とで混乱しているの」と語った。
映画は、さまざまな犠牲を払って戦地に向かう女性兵士と、その女性兵士を心配する家族がリアルに描かれている秀作。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)