『ラブ・アクチュアリー』から始まった名優ビル・ナイとリチャード・カーティス監督の友情!
現在公開中の映画『アバウト・タイム ~愛おしい時間について~』のリチャード・カーティス監督が、英国の名優ビル・ナイとの友情について語った。ビルは『ラブ・アクチュアリー』『パイレーツ・ロック』『アバウト・タイム』というカーティス監督作全3作のほか、『ある日、ダウニング街で』など彼が脚本を手掛けた作品にも出演している。
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『ラブ・アクチュアリー』(2003)から始まった二人の友情だが、もともとビルを同作にキャスティングする予定はなかったという。「老ロックンローラー役の候補はすごく有名な二人の俳優で、どちらにするか迷っていたときに脚本の読み合わせがあり、しょうがないからキャスティングの女性に『映画には出ないけど、読み合わせに参加してくれる人のいい俳優を探してくれないか』と頼んだらビルが来たんだ」。その演技が素晴らしかったため、カーティス監督は予定していた二人の有名俳優ではなくビルをキャスティングすることを決断。ビルは同作での演技で英国アカデミー賞をはじめとした多くの賞に輝いた。
「ビルに多くの映画に出てもらっているのは、彼が本当に多くのことができるからなんだ」と説明するカーティス監督が今回『アバウト・タイム』でビルにオファーしたのは、ドーナル・グリーソン演じる主人公ティムの21歳の誕生日に「この一家に生まれた男たちにはタイムトラベル能力がある」と告げ、タイムトラベルを繰り返しながら人生に奮闘するティムを見守る父親役。
「ビルに本作の脚本を送ったら、ぜひやりたいとセットに来たんだ。でも“演技はしたくない”と言っていた。エキセントリックで、英国的で、口ひげがあって、ツイードのジャケットを着て……といった父親ではなく、穏やかな普通の父親、映画を観た人たちが自分の父親だと思えるような人物にしたいと言っていた」。そうして二人で生み出したのは、ありふれていると同時にとんでもなくチャーミングな父親像。丁寧に描かれるティムと父の関係に胸が熱くなることは必至だ。
また、本作をもって監督業からの引退を表明しているカーティス監督。「撮影でビルとビーチに居たんだけど、暑くて大変な1日だった。それで、次にビーチに一緒に来るときは、友人同士としてただ歩き回ろうって言い合った。映画を監督するのは3年くらい時間がかかるんだけど、別のことに時間を使いたい。この映画は『平凡な毎日を楽しんで。映画を作って、お金を稼いで、成功する必要はない』って言っているわけだけど(笑)、その命令に従うんだ。人生は愛している人々と一緒に過ごすべきだ」と語る表情は穏やかそのものだった。(編集部・市川遥)
映画『アバウト・タイム ~愛おしい時間について~』は公開中