『父、帰る』の鬼才ズビャギンツェフ監督の日本未公開作、2作同時公開!
映画『父、帰る』(2003)で第60回ベネチア国際映画祭金獅子賞を受賞したアンドレイ・ズビャギンツェフ監督の日本未公開作2作が、12月20日より劇場公開されることが決まった。ズビャギンツェフ監督といえば新作『レヴィアタン(原題) / Leviathan』で今年のカンヌ国際映画祭脚本賞に輝いたほか、同作でアカデミー賞外国語賞ロシア代表に選ばれたことも記憶に新しい。
今回日本公開が決まったのは、第60回カンヌ映画祭でコンスタンチン・ラヴロネンコに男優賞をもたらした2007年の『ヴェラの祈り』(原題:IZGNANIE)。妻ヴェラの「赤ちゃんができたの。でもあなたの子ではない」という告白をきっかけに、夫の嫉妬と怒りは幼い子供たちを巻き込みながら予想外の悲劇を引き起こす……。壮年夫婦の愛と魂の彷徨(ほうこう)を描いた傑作だ。
もう1本は、第64回カンヌ映画祭ある視点部門で特別審査員賞に輝いた2011年の『エレナの惑い』(原題:ELENA)。初老の資産家と再婚し、働く気のない息子家族の生活費を工面しているエレナが、病を患った夫の「明日、遺言を作成する」という言葉を聞いて取った行動とは何だったのか……。妻という存在とは、母という存在とは何かを根源から問いただしていくドラマになっている。
2作品に共通しているのは、どちらも“女の業”を描いた“女性映画”であるという点。世界から注目される鬼才ズビャギンツェフ監督が人間の内面に徹底的に迫った両作は見逃せない。(編集部・市川遥)
映画『ヴェラの祈り』『エレナの惑い』は12月20日よりユーロスペースほか全国公開