『アーティスト』でアカデミー賞主演男優賞受賞のジャン・デュジャルダン主演作でフランスの美形監督が来日
第27回東京国際映画祭
第27回東京国際映画祭で、フランス、ベルギー合作映画『マルセイユ・コネクション』のセドリック・ジメネス監督と、フランスに実在した国際麻薬組織のボスを演じたジル・ルルーシュによる記者会見が行われた。
『マルセイユ・コネクション』セドリック・ジメネス監督&ジル・ルルーシュ来日フォトギャラリー
1970年代のフランスで麻薬取引を独占する組織と、組織撲滅に立ち向かう判事の対決を描いた本作は、1971年にアカデミー賞で5部門受賞した『フレンチ・コネクション』で描かれた、アメリカへの麻薬密輸ルートの拠点、南仏のマルセイユが舞台となっている。
ヘロイン密売ルートを牛耳る組織のボス、タニー・ザンパを演じたジル・ルルーシュは、『アーティスト』でアカデミー賞主演男優賞を受賞し、本作でピエール・ミシェル判事を演じたジャン・デュジャルダンとは3度目の共演。ジルは、「彼と一緒に撮影したのは対決シーンだけなのですが、旧知の仲である僕たちには大変だった。撮影の8時間の間だけは、お互いに顔も見せない、話もしないという感じで、友情を忘れて撮影に臨んだんだ。だから撮影後はカウンセラーに通わねばならない状態になってしまうほどだったよ!」と冗談を交えて撮影秘話を語った。
生まれも育ちもマルセイユだというセドリック監督は、「父親がオーナーを務めるレストラン兼ナイトクラブが、タニーの家の近くにあったので、彼らや麻薬組織と判事の対立について興味があった。なおかつ、マルセイユという街そのものを称賛するかたちで描きたかったんだ」と本作に個人的な思いがあったことを明かした。
また、普段は濃いひげが特徴のジル・ルルーシュが、本作ではひげの印象が薄かったことについて監督は、「生きざまを含めてハンサムな男にすることにこだわった。実在したタニー・ザンパ自身がアルコールもタバコもやらず、スポーツなどで体を鍛え、服装も非の打ちどころのない人物だったんだ。1970年代当時は3日間ひげを伸ばし放題にしている人もあまりいなかったから、僕はジルやジャンにしっかりひげを剃るように頼んだんだよ」とのこと。「そう……毎朝大変だったよ!」とジルが笑いながら続けた。
最後にジルは東京の印象について、「『ブレードランナー』のような近代的で未来的な街」とコメント。「東京は子供のころから行ってみたいと憧れていた街だった。実際に来てみたら想像していた通り、「ユーフォリック(Euphoric)」と僕は表現しているんだけど、快楽を感じるような、ワクワクするような気持ちをかき立てられる街だね」と初来日で主演映画を紹介できたことを喜んでいた。(取材・文:芳井塔子)
東京国際映画祭は10月31日まで、六本木ヒルズをメイン会場に都内各地で開催中