伝説の漫才コンビ、ベイブルース1日限りの“再結成”急逝した相方に捧ぐ…
1994年に25歳の若さで亡くなった漫才師・河本栄得さんの短くも熱い生きざまを描いた映画『ベイブルース ~25歳と364日~』舞台あいさつが1日、角川シネマ新宿で行われ、河本さんと漫才コンビ「ベイブルース」を組んでいた高山トモヒロ監督が出席、観客の前でベイブルースを“再結成”させた。この日は波岡一喜、趙民和、小川菜摘、安田美沙子、光永、オール巨人も来場した。
26歳の誕生日前日となる10月31日に、脳出血のため亡くなった河本さん。この日の舞台あいさつは、彼の46歳の誕生日となる11月1日に合わせて実施された。大勢の客で埋まった客席を前にした高山監督は、感無量の様子で「笑顔を作っていますが、心の中は感謝で泣いています」とその瞳を涙で潤ませるも、「公開初日が命日で、翌日が誕生日ということですが、夏休みくらいに死んでいてくれたらと、吉本の営業の人が言っていた」とブラックジョークを発し、会場を笑わせた。
そしてこの日、「20年前のネタなんですが、スベろうがウケようが気にせずやっていいですか?」と切り出した高山監督。その言葉を受け、登壇者たちは客席に降り、監督が1人ステージに残された。すると、スナックのカウンターに座る、ありし日の河本さんの映像がスクリーンに映し出される。
河島英五さんの名曲「酒と泪と男と女」をモチーフに、映像を通してボケ続ける河本さんに、キレのあるツッコみを入れる高山監督。20年の時を経てよみがえったベイブルースのネタに会場は大爆笑。ネタを終えた高山監督は「20年ぶりに河本の顔を見たけど、こいつやっぱりむかつくなと思いましたよ」と毒づいてみせた。
そして終盤、「あいつは会場に来ていると思います」と語った高山監督。「出口でお客さんに、ありがとうございましたと頭を下げろと、40代半ばのおっさんが20代のくそガキに言ってやりたい。ですから帰り際、心の中で、河本に声を掛けてくれたらうれしいです」と語り、会場の熱い拍手を集めていた。(取材・文:壬生智裕)
映画『ベイブルース ~25歳と364日~』は角川シネマほかにて全国公開中