フランス映画『美女と野獣』に日本アニメの色濃い影響!クリストフ・ガンズが明かす
フランスの実写映画『美女と野獣』に日本のアニメが与えた影響について、同作でメガホンを取ったクリストフ・ガンズ監督が語った。コナミのホラーゲームを映画化した『サイレントヒル』で知られるガンズ監督は、日本には「しょっちゅう来ている」といい、来日回数は30回以上という日本通だ。
本作は、1740年にフランスのヴィルヌーヴ夫人がギリシャ神話やローマ神話からヒントを得て執筆したファンタジーを、幻想的な映像美でよみがえらせた作品。終盤に登場する“巨人”は三隅研次監督の『大魔神怒る』にオマージュをささげたものと公言しているガンズ監督だが、野獣(ヴァンサン・カッセル)の城のシーンで出てくる傷を癒やす黄色の糸状の光は、宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』でナウシカを治癒した王蟲の触手を思わせるところがある。
最初に観た宮崎アニメは『風の谷のナウシカ』か『ルパン三世 カリオストロの城』のどちらかだった振り返ったガンズ監督は、「宮崎監督の作品は絵の美しさだけではなく、人間と自然の関わり方など彼が掘り下げているテーマがすごく好きで、自分も同じようなテーマで映画を製作しています」とコメント。「今言われて気付きましたが、あの黄色い光は“自然の魔法の力”という意味で描いたのですが、確かにそういった影響が出ているかもしれません」とうなずく。
さらに、巨人、野獣に加え、ヒロイン・ベル(レア・セドゥ)の“友人”となる目の大きな犬のような生き物を登場させたことにも、「『となりのトトロ』の大きいトトロ、小さいトトロ、まっくろくろすけのようにいろいろなサイズの集合体を描きたいと思ったのです」と宮崎作品の影響があったという。また、内部までバラで覆い尽くされた野獣の城のビジュアルは、“ここでラブストーリーが展開する”というシンボルであると同時に、「『MEMORIES』(大友克洋総監督のオムニバスアニメ映画)の中の『彼女の想いで(Magnetic Rose)』のバラのイメージ」と明かした。
そうして製作された『美女と野獣』は、本国フランスおよびヨーロッパのほかの映画とは一味違うものとなっている。ガンズ監督は「原作が、自然を神聖なものとするギリシャ神話やローマ神話の影響を強く受けているということもありますが、わたし自身の思想からその点を強調させているというのはあると思います。キリスト教社会では“人間こそ神聖で自然は神聖ではない”と捉えられているので、その点とてもオリジナリティーのある作品になりました」と胸を張った。(編集部・市川遥)
映画『美女と野獣』は11月1日よりTOHOシネマズスカラ座ほか全国公開