ペ・ドゥナが来日!外国語マスターの秘けつを明かす
第15回東京フィルメックスのコンペティション部門で上映された『扉の少女』(仮題)のティーチインが行われ、是枝裕和監督や山下敦弘監督の作品の主演を務めるなど日本とゆかりのあるペ・ドゥナが登壇。本作で女性監督と組んだ感想や、昨今ハリウッドに進出するなど、さまざまな言語を使い分けることのストレス解消法を明かした。
『ペパーミント・キャンディー』『シークレット・サンシャイン』などの名匠イ・チャンドンがプロデュースを担当した本作は、チョン・ジュリ監督の長編デビュー作であり、カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で上映された。DV(家庭内暴力)や外国人の不法就労問題、性的マイノリティーなど、韓国社会に内在するさまざまな社会問題を扱いつつ、社会から疎外された女性の力強い生きざまを描いている。
午前中の上映に駆け付けたファンに主演のペ・ドゥナは「おはようございます」と日本語であいさつ。いち早く手を挙げたファンから『空気人形』『リンダ リンダ リンダ』などの日本映画や『クラウド アトラス』などのハリウッド映画に出演し、多くの言語を使うことにストレスはないのかと問われると、「ストレスになることはありますが、そういうときは公園に行ったりして耳を休めます。あと、好きなワインを飲むとなぜかスラスラと言葉が出てきますね」と冗談を交えて答えた。
映画で描かれる性的マイノリティーについて尋ねられたチョン・ジュリ監督は、「まず寂しい2人の女性がどのように出会うかを考えました。その際に、実の母親に捨てられ義母に預けられた女の子と、男性社会で生きる女性警察官という設定、さらに社会的に疎外される立場として性的マイノリティーという設定を入れました」と答え、韓国の社会問題を盛り込んだことを伝えた。
また、女性監督との仕事についてペ・ドゥナは「一緒に作り上げていく感じがあり、女性のキャラクターを作るための的確なアドバイスを受けられるので女性監督との仕事は好きです」と言い、チョン監督は年齢が近かったこともあり温かい雰囲気で撮影が行われたと振り返った。(取材・文:芳井塔子)
第15回東京フィルメックスは、有楽町朝日ホールをメイン会場に11月30日まで開催中