クリストファー・ノーラン、弟&妻と『インターステラー』を手掛けた意味
クリストファー・ノーラン監督が、新作SF『インターステラー』を弟で脚本家のジョナサン・ノーランと妻でプロデューサーのエマ・トーマスと手掛けたことについて語った。ノーラン監督作にはおなじみの二人だが、壮大な宇宙を舞台に父クーパー(マシュー・マコノヒー)と娘マーフの絆を描いた本作を実際の家族で作り上げることには、ノーラン監督にとっても大きな意味があったという。
本作はもともとスティーヴン・スピルバーグ監督とジョナサンで進めていた企画で、その後ジョナサンが執筆した脚本を基にノーラン監督がメガホンを取ることになった。ノーラン監督は「ジョナ(ジョナサン)が書いた脚本で僕が一番共感を覚えたのは、父と子の関係の部分だった」と明かすと、「この父は、子供たちを残して出て行かなければいけない。脚本のリライトをしているとき、僕はマーフを女の子にしようと決めた。それまでは男の子という設定だったんだ。そこに書かれていた親子関係は、ほとんど変えていないよ。女の子にしたのは、その方が個人的にさらに強く共感できたからに過ぎない。僕にも娘がいるし」と説明する。
それだけに本作はSF映画ではあるものの、「僕にとってこの映画は“父であるというのはどういうことか”を語るもの」と断言。「また、父にとって、子供を残して仕事に行くことがどれほどつらいことであるかも。僕の場合は一緒に仕事に連れて行くという解決法を取っているけどね」と笑ったノーラン監督は、「宇宙という大きなスケールの背景の下、そんなふうに人間同士の関係を深く探索してみることに僕は興奮したんだ。宇宙のますます遠いところまで行くようになるにつれて、人は、わが子や配偶者との関係という人生の身近なものに重きを置くようになるものではないだろうか。そんなプロジェクトを僕自身の弟が始めて、妻がプロデューサーを務めるという事実も、僕にとっては重要な意味を持つことだった。その気持ちが映画にも反映されていることを望んでいるよ」と続けている。(編集部・市川遥)
映画『インターステラー』は11月22日より新宿ピカデリー他にて全国公開