妖怪になると決意した36歳独身男性の日常が映画に!
「妖怪になる」と決意した加藤志異(36歳・独身男性)の日常に迫ったドキュメンタリー映画『加藤くんからのメッセージ』公開記念イベントが11月30日、東京の三鷹天命反転住宅で行われ、加藤とメガホンを取った綿毛監督が出席。妖怪を目指すことの意味や、撮影のエピソードなどを語った。
夢や恋に破れ、大学を11年かけて卒業。月収9万円の契約社員として働く加藤が、ある出会いをきっかけに人の夢を応援する「妖怪」になろうと決意。“妖怪・加藤志異”として生まれ変わり「夢はかなう! だから僕は妖怪になる」と叫び続ける“妖怪演説”や、子供たちに自作の絵本で“妖怪読み聞かせ”を行うなどの妖怪活動を追った本作。
会場となった三鷹天命反転住宅(荒川修作+マドリン・ギンズ作)の荒川との出会いが加藤の転機になり、「『人の死を前提する考え方をやめてみよう。人は死なない』と話す荒川さんの情熱が、僕にうつってしまったんです。それなら“死なないやつ”になってやろう、死なないで人の夢を応援する『妖怪』になろうと思ったんです」と理由を明かす加藤。「夢と現実をつなぐ」「世界と社会をつなぐ」「子供に似ている」妖怪になりたいと加藤は言う。
加藤が妖怪として「全ての夢はかなうんです」と力説する中、綿毛監督は本作の意図について「加藤さんは気が弱く、妖怪活動をするすると言いながら、路上演説くらいしかしないで、なかなか踏み出せないんです。ご両親にも恥ずかしがって『妖怪になる』と言い出せない。威勢はいいけど、大事な告白ができない加藤さんの『ないない尽くし』の部分が撮れたら、作品の核になる。多くの人に力を与えると思いました」と冷静に語り、二人のギャップに会場も沸いた。これが処女作となる綿毛監督も、派遣OLをしながら撮影を行った。(取材・岸田智)
映画『加藤くんからのメッセージ』は12月6日よりシアター・イメージフォーラムにてレイトショー公開