長塚京三、仲間に入れてもらえず「寂しかった」と告白
俳優の長塚京三が11月30日、人気作家・早見和真とたまプラーザテラスにてトークショーを行った。長塚は、早見の同名小説が原作で今年5月に公開された映画『ぼくたちの家族』の撮影現場について、共演者らの輪の中に入れてもらえず寂しかったと振り返った。
母親の病気がきっかけでバラバラだった家族が絆を取り戻し、再生していく姿を描いた同作以降、交流を深めてきた二人はこの日、早見の最新作「イノセント・デイズ」発売を記念して「作家のヒミツ、役者のホンネ」をテーマにしたトークショーに登壇。
撮影を振り返った長塚は、「(現場で)仲間に入れてもらえなくて、とっても寂しかったですよ」と吐露。当時、早見は同世代の石井裕也監督や主演の妻夫木聡、池松壮亮らと「ガキンチョのようにつるんでいた」そうで、「一緒に飲もうぜ! と長塚京三を誘うわけにはいかなかった」と釈明。また、本作は早見の家族をモデルにしていることもあり、早見は「親父に対するむかつきを全部込めた小説で、それを演じてくれた長塚さんなので、やっぱり飲み会には誘えませんでした」とぶっちゃけて笑いを誘った。
早見いわく「それぞれに見せ場がある中、一番おいしくない役」を務めた長塚だが、映画やドラマへの出演は脚本で決めるのだそう。長塚にとって本作出演の決め手となったのは「あいつらだって子供の頃はかわいかったんだ」というセリフで、「この役はこの一言だな。このセリフはわたしに言わせてもらおうと思った」と心が動いた瞬間に触れた。
早見は石井監督とのタッグを振り返り、「石井監督は僕よりも原作を読んでいる。書いたはずの僕に作品を語ってきた」と述懐。そんな石井監督が作る映画が「変なものになるわけがない。たった一つ伝えたかったことを監督は伝えようとしてくれる確信はあったので、どうにでもしてくださいと話をした」と全幅の信頼を寄せ、母親を演じた原田美枝子から「早見さん幸せよ。わたしは試写会の途中に怒って帰った原作者を2人見たことがある。こんなにいい映画だと喜べることは幸せよ」と言われたことも明かしていた。(取材・文:鶴見菜美子)
「イノセント・デイズ」は発売中(新潮社)