元ヤクザを率いた破天荒な牧師、神は死んだのかの問いかけに「バカヤロー、死ぬわけない」と反論
元ヤクザのクリスチャン集団「ミッション・バラバ」を率いたことでも知られる異色の牧師アーサー・ホーランドが27日、ヒューマントラストシネマ渋谷で行われた映画『神は死んだのか』公開記念トークイベントに来場、その破天荒で独特な語り口で会場を魅了した。
「神は死んだ」という宣言を学生に強要する無神論者の哲学教授と、それを受け入れられないクリスチャンの大学生との“神の存在証明”をめぐる大激論の行方を描いた本作。今年3月に全米で公開されるや大ヒットを記録したが、今月13日から公開が始まった日本でも満席の回が飛び出すなど、好調を維持している。
この日のゲストで来場したホーランドは、牧師ながら愛車のハーレーダビッドソンを乗り回すという異色の牧師。新宿は歌舞伎町での路傍伝道、十字架を背負っての日本列島全国縦断伝道、元ヤクザが集まったクリスチャン集団「ミッション・バラバ」を率いての伝道を行うなど、その破天荒な経歴が注目を集めている。
この日、映画の上映前にライダースジャケット姿で登場したホーランドは「グッドアフタヌーン! 夜でもアーサー。昼でもアーサー。オヤジギャグでごめんなさい」と軽妙にあいさつ。さらに「こう見えても俺、牧師なんですね。だいたい日本の牧師でこういう格好をする牧師はいません。この青い空、白いクモ、太陽の日差し、夜空の星々が俺の教会の天井なんだと。吹く風、神の愛のスピリット、小鳥のさえずり、虫の音が俺の教会の賛美歌。こんなことばかり言っているから、教会からは呼ばれなくなりました」と続けて、会場を沸かせる。
さらに「神は死んだのか」という本作のタイトルにもなっている問いかけにホーランドは「バカヤロー、死ぬわけないだろうと。日本人は神の存在を否定する民族じゃないと思います」とキッパリ。「神は自然界を作ったけど、人間は宗教を作った。ジョン・レノンは『イマジン』で宗教のない世界と歌ったが、神のない世界とは歌っていない。そういう意味では宗教が人々の心を混乱させているのかもしれない」と語った上で、「この映画が何かを考えるきっかけになるかもしれないので、楽しんでください」と一気に語り尽くした。(取材・文:壬生智裕)
映画『神は死んだのか』はヒューマントラストシネマ渋谷&有楽町ほかにて公開中