エイミー・アダムスが語るティム・バートン監督が描くアート界のスキャンダル作品とは?
映画『アメリカン・ハッスル』の演技派女優エイミー・アダムスが、ティム・バートン監督の新作『ビッグ・アイズ』について語った。
本作は、1950~60年代に悲しげで大きな瞳を描き、一大ブームを巻き起こした絵画「Big Eyes」シリーズの作者ウォルター・キーンは名声を手にするが、実際に絵を描いていたのは彼の妻マーガレットであることが発覚し、彼女は自身の心情を反映させた作品のために、夫と法廷で争うことになるというドラマ。
支配的な夫のもとで暮らしたマーガレットは心理的に難しい役だったそうだ。「彼女のような環境で暮らす女性は不幸にもわりと多いわ。夫婦関係において心理的虐待というのは、妻(または夫)たちが社会から隔離されながら支配されていき、さまざまな犯罪や悪行などに加担させられるケースもあるの。マーガレットの場合は、ウォルターのうそを受け入れたことで10年間の苦悩を味わう。でも彼女は、もしそのうそがなかったら今でも絵を描けなかったため、彼のうそはある意味天才的なものだと評価しているの」と語る通り、複雑な心境を抱えた女性だったようだ。
マーガレットが世間に事実を公表したのは、彼女がエホバの証人に改宗したからなのか。「彼女が改宗した時も、(公表できない)うそを抱えていた。そのため彼女が後に、うそをついていたという真実を伝えることができたり、もっと早く世間に公表できなかったのかと、今日も責任を抱えているのは、エホバの証人の信者になったことが一つの理由だと思う。ただ彼女はその責任を誰かに押し付けることには興味がないの。もちろん、ウォルターはクレイジーとは思っていたけれど、(強制的な)うそに関わったことにはちゃんと責任を持っている」と明かした。
実際にマーガレットに会ったことについて「出演前から彼女の作品は知っていたわ。彼女とは撮影開始2、3週間前に会って、1日じっくり話せた」と答えた。さらにマーガレットの娘ジェーンについては「(ハワイに移住した)マーガレットとジェーンは今でも親密な関係で、お互いの人生に関わっているの。ただ、(故人の)ウォルターとは会いたいとは思わなかった。もし今も彼が生きていたら、彼には内緒で映画製作しなければいけなかったわ」と答えた。
映画は、内向的な女性が自身の作品と夫との関係を通して徐々に変化していく様を、エイミー・アダムスが見事に演じている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)