レスリング吉田沙保里、金メダリスト射殺事件を描くオスカー候補作に衝撃
ロンドンオリンピック女子レスリング金メダリストの吉田沙保里選手が21日、都内で行われた映画『フォックスキャッチャー』のトークイベントに出席。普段は恋愛映画しか観ないという吉田選手だが、自身と同じ五輪金メダリストの射殺事件を描いた本作については、「衝撃的な映画」と大絶賛した。
本作は、1996年に全米を震撼させた、レスリングの五輪金メダリストであるマークとデイヴのシュルツ兄弟が巻き込まれた、大財閥デュポン家の御曹司による射殺事件を描く衝撃作。スティーヴ・カレル、チャニング・テイタムのほか、マーク・ラファロら実力派俳優の演技と最高級の演出は、本作を第87回アカデミー賞5部門ノミネートに導いた。
練習後、日本レスリング協会強化委員長の栄和人氏や後輩選手らと共に登場した吉田選手は、本作について「選手の心の動きがリアルに映し出されていて見入りましたし、衝撃的な映画でした」と鑑賞後の率直な感想をコメント。レスリングではデイヴの名を冠した国際大会があるというが、事件については知らず「国とか町の名前かなと思っていた」と笑顔で明かすなど、おちゃめな一面も披露した。
一方の栄氏は、「(デイヴとは)世界大会なども一緒に出場していたので、僕の中では(射殺事件は)信じられないこと。映画化は世に知ってもらうために必要なことかなという感じがする。あれだけ偉大なレスラーで金メダリスト、指導者としても素晴らしい人が亡くなったことは、アメリカにとってもレスリング界にとっても凄い損失」としみじみと語った。
金メダリストになり、それに伴う富と名声によって引き起こされた射殺事件。しかし吉田選手は、「金メダルを取って良いことはたくさんある。でも、お金のためにとか、いくらもらえるから勝ちなさいという話ではない。金メダルを取りたい、連覇したいという気持ちだけで戦っているので、お金とかそういうのじゃなく、記録がついてきて、後から幸せがついてくる。いろんな誘惑もあったりするが、自分の目標をぶれずにやるしかない」と金メダリストらしい力強いコメントで結んだ。(取材・文:鶴見菜美子)
映画『フォックスキャッチャー』は2月14日より全国公開