史上初一挙放送!『テルマエ・ロマエ』に見る俳優・阿部寛の魅力とは?
『テルマエ・ロマエ』『テルマエ・ロマエII』がWOWOWで一挙放送されることが明らかになった。一挙放送を前に、同シリーズを大ヒットに導いた阿部寛の俳優としての魅力を検証してみた。
男性ファッション誌のモデルから俳優に転身、仲間由紀恵との名コンビで知られるテレビドラマ「トリック」でブレイクし、数々の名作に出演してきた阿部。本年度の日本アカデミー賞でも、『ふしぎな岬の物語』で優秀主演男優賞、『柘榴坂の仇討』で優秀助演男優賞をW受賞するなど、さらなる活躍を見せている。
そんな彼が初めて日本アカデミー賞主演男優賞、さらには最優秀主演男優賞を受賞した作品が、『テルマエ・ロマエ』だ。第1弾は興行収入60億円に迫る大ヒットを記録し、第2弾も興行収入40億円を突破した本作は、ヤマザキマリの同名漫画が原作のコメディー作品。阿部は現代日本にタイムスリップする古代ローマの浴場設計技師ルシウス役に挑み、真骨頂ともいえるコメディアンぶりを遺憾なく発揮した。
現代日本で最新の風呂文化に触れるたびに、両目をひんむいて驚がくし、どうすれば古代で模倣できるのかカン違い気味に分析してみせ、時には子供のように無邪気にはしゃぎまくるルシウスの姿は、最高のハマリ役。そのとことん真面目でオーバーなリアクションが、笑いのツボを刺激するのだ。また、風呂が舞台なだけに、ギリシャ彫刻かと見まがうばかりの肉体美を惜しげもなくさらけ出した彼の「本気ぶり」も『テルマエ・ロマエ』ヒットの大きな要因だろう。
コメディー作品での魅力もさることながら、東野圭吾の小説「新参者」シリーズの加賀恭一郎刑事といったシリアスな役では、観る者の涙腺をも揺さぶる阿部。その素顔は「朴訥(ぼくとつ)で純粋な努力家」と、関係者からもすこぶる評判がいい。どんな役からも本人のピュアな素顔が垣間見えるからこそ、心から笑えて、泣けるのかもしれない。(文・斉藤由紀子)
『テルマエ・ロマエ』シリーズはWOWOWシネマにて3月7日(土)、WOWOWプライムにて3月8日(日)、3月12日(木)一挙放送