『アリスのままで』の監督死去 63歳 2011年にALSが判明
第87回アカデミー賞でジュリアン・ムーアが主演女優賞を受賞した映画『アリスのままで』の監督を務めたリチャード・グラツァーさんが、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の合併症により、現地時間10日にロサンゼルスで亡くなっていたことがわかった。63歳だった。Varietyほか複数のメディアが報じている。
【画像】ジュリアン・ムーアのスピーチからブリーフで登場した司会者まで<第87回アカデミー賞の様子>
グラツァー監督は、同作の企画を引き受ける前の2011年に、徐々に体中の筋肉が衰える難病のALSであることが判明。日々症状が悪化していく中、同性のパートナーであり2013年に結婚したワッシュ・ウェストモアランドと共にメガホンを取り、監督の座を降りることなく作品を完成させた。今年2月には重度の呼吸不全で入院し、心肺停止するという危うい状況に陥っていたが、24時間後奇跡的に意識が回復。現地時間22日にロサンゼルスで開催されたアカデミー賞授賞式は、病院内で鑑賞していた。
ウェストモアランド監督は、「非常にショックを受けています。リッチ(グラツァー監督)はわたしのソウルメイトで、協力者で、親友で、わたしの人生そのものでした。彼が4年間気品と勇気を保ちつつALSと闘っている姿は、わたしや彼を知っている人たち全員を奮い立たせてくれました」と声明を発表。
「こんなつらいときですが、『アリスのままで』が世界中に広がっている様子を彼が見ることができたという事実がわたしを癒やしてくれます。彼が身も心も注いだこの映画にたくさんの人々が触れることに、彼はいつも喜びを感じていました。皆さんのあふれ出しそうな大きな愛に感謝します」とコメントし、「彼は本当のアーティストで素晴らしい人でした。20年間という短い期間ですが、彼と一緒にいられた日々を大事にします。まだ彼が亡くなったということを信じることができませんが、わたしや彼を愛してくれた人々の心の中で、彼は生き続けてくれることでしょう」と締めくくっている。(編集部・井本早紀)
映画『アリスのままで』は6月27日より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国公開