メキシコ麻薬戦争の闇に切り込んだ戦場ジャーナリストが日本の大学生と討論!
メキシコ麻薬戦争の最前線に切り込んだドキュメンタリー映画『皆殺しのバラッド メキシコ麻薬戦争の光と闇』公開記念ティーチインが4日、渋谷区の青山学院アスタジオで行われ、シャウル・シュワルツ監督が、同大学総合文化政策部の学生たちからの質問を受けた。この日は聞き手としてライター・編集者の速水健朗も来場した。
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インターネットで簡単に情報が収集できる現在、あらためて失われつつあるリアリティー。巧みな映像プロパガンダを利用したイスラム国といった過激派テロリズムが台頭する時代において、ジャーナリズムの役割とは何か。この日のイベントは、ケニア暴動の報道写真でアメリカ海外記者クラブによるロバート・キャパ賞を受けた戦場フォト・ジャーナリスト、シュワルツ監督を交えて実施された。まずは「わたしは人生初の日本を堪能していますが、皆さんとこのような機会を分かち合えることができて楽しみです」とあいさつしたシュワルツ監督。なごやかな雰囲気でティーチインは行われた。
本作には、ナルコ・コリードという麻薬ギャングを礼賛する音楽ジャンルが存在することが紹介され、ティーンエイジャーたちがそれに熱狂しているさまが映し出される。シュワルツ監督も「自分の両親が毎日、汗水垂らして仕事をしていていも日給10ドルくらい。その一方でものすごい大金をばらまいて。女性を好き放題にし、時には人を殺してもとがめられることがない。そんなものすごいパワーを持つ人を間近で見たら、虚栄心がくすぐられてしまうのかもしれない」と現状を解説。
さらに「とはいえ、わたしは彼らをロビン・フッドだとは思っていない」と付け加えたシュワルツ監督は、「何でそういうことができるのかとショックを受けるだけでは何も始まらない。それよりも彼らを理解をしようとすることが大事だ。この映画を作った理由はそういうところにある」と付け加えた。
また最後にジャーナリスト志望の学生に向かって「僕の仕事が面白いのは、2日と同じ日がないということ。少しでもやりたいことがあるのなら、ちゅうちょせずにやってみてほしい。確かに今のジャーナリズムには問題がたくさんある。しかし若い人たちには好奇心を持って、人間に興味を持ってもらいたい」とエールを送り、この日のティーチインは幕を下ろした。(取材・文:壬生智裕)
映画『皆殺しのバラッド メキシコ麻薬戦争の光と闇』は4月11日よりシアター・イメージフォーラムにて公開