専業主夫の夫に別れを告げられた妻の新たな恋を描いた映画とは?
映画『アルゴ』やテレビドラマ「ニュースルーム」のクリス・メッシーナが、監督デビュー作『アレックス・オブ・ヴェニス(原題) / Alex of Venice』について語った。
本作は、専業主夫ジョージ(クリス)に突然別れを告げられた仕事重視の妻で弁護士のアレックス(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)が、俳優の父(ドン・ジョンソン)、性格が真逆の妹(ケイティ・ネーラ)、そして内気な息子ら家族と共に暮らしながら、新たな恋人との関係を通して、自分の人生を見つめ直していくドラマ。クリスは俳優兼監督を務めた。
長年、俳優を務めてきたクリスが、監督に初挑戦したのは「映画監督の経験はなかったが、これまで小さな舞台劇では監督を務めたことがあって、そのときは楽しむことができた。実はこれまでの自分自身のオーディションを通して、他の俳優とトレーニングしたり、監督の指示の仕方を学んだりはしていたんだ。さらにハル・アシュビー監督やロバート・アルトマン監督などの影響をかなり受けていたことも大きかった」と理由を答えた。さらに、これらの監督の影響から、今作ではカットが少なく、(長回しの撮影で)流れるように描いているとも語った。
監督と俳優の両立について「まず、僕の友人で今作の出演者マシュー・デル・ネグロや映画『28 ホテル・ルームズ(原題) / 28 Hotel Rooms』でタッグを組んだマット・ロスに、セットに来てもらっていた。それから僕が撮影監督と共にカメラの配置などを決め、その後俳優として自分の準備をしてから、彼らに僕の演技を見てもらい、演技が良かったら次のシーンへ行っていた。だが実際には、低予算でモニターさえなかったため、およそ20日間の撮影全ては、彼らの目を信じて進めていた」と友人のサポートに助けられたことを明かした。
アレックス役のメアリーについて「幸運だったのは、彼女がオーディションに参加してくれたことだ。特にこのような低予算の作品には、メアリーのような素晴らしい女優で、さらに企画にも愛情を持って気配りしてくれるような人物が必要だった。そのうえ今作は僕の初監督作だったため、他のスタッフも彼女もリスクを背負ってよく参加してくれた」と感謝を示した。
映画は、仕事以外全て夫に委ねていた妻が、夫との別れで自分の短所に気づきながら成長していく過程に共感が持てる作品。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)