園子温は『リアル鬼ごっこ』を知らなかった!映画化の経緯明らかに
映画『新宿スワン』『ラブ&ピース』『映画 みんな!エスパーだよ!』など、今年公開される作品多数の売れっ子監督、園子温。山田悠介のベストセラー小説を原作にオリジナル脚本で制作した『リアル鬼ごっこ』の撮影現場では、「早く行け!」「やるぞ!」「本番!」とエネルギッシュに指揮を取っていた。はた目に見てもアドレナリンが出ている様子がわかり、わき立つイメージが消えないうちに本番へと突入するようなエキサイティングな撮影現場。意外にも園監督は原作を読んでおらず、過去5作のシリーズ映画も観ていない。“リアル鬼ごっこ・バージン”だったのだ。
園監督に企画の声が掛かったのは、2014年の晩夏。谷島正之プロデューサーによると「全然乗り気じゃなかった」そう。決め手となったのは、「リアル鬼ごっこという走ることがテーマで、追いかけっこをする映画。そのコンセプトを外さなければ自由に好きなことをやってくれて構わない」という一言だ。園監督はプロットに取り掛かり、頓挫していた過去のアイデアや全員女性のキャラクターという発想も盛り込んだ。
「久しぶりに園らしい作品になっているかな。最近、あんまりみんなが期待しているようなグロテスクな作品は撮っていなかったので。そういう意味では、みんなが思っているような園子温像に近い作品」と語った園監督。残酷描写中心の作品作りには飽きてきたといい、「そういうのとはちょっと違う、なかったものをやりたかった。血しぶきの量とかそういうことじゃない。可憐(かれん)な少女の物語。だから少女に観てほしいです」
原作を読んでいないとキッパリと話し、「過去のシリーズ作品もあえて観ていない。だからどういう内容なのか、全然知らないんです。タイトルだけで映画を作っているので」とさらに言い切った。谷島プロデューサーは「彼のフィルモグラフィーの中では最も異色な企画」と今作ならではの魅力に自信をのぞかせている。
今作には、主演のトリンドル玲奈、篠田麻里子、真野恵里菜の3人全員と絡む重要な役どころで園監督の秘蔵っ子、桜井ユキも出演。園作品に4作連続出演している桜井は「『愛のむきだし』の満島ひかりや、『紀子の食卓』の吉高由里子に次ぐような、監督が見つけ出した女優。必ずライジングスターになる。すごくいい顔しているんですよ」と谷島プロデューサーが太鼓判を押す若手女優。
桜井は園監督から「とにかくキーになる役で、かっこいい役だから、クールな感じで終始しっかりと務めてほしい」と最初に言われたそう。「園さん自体がどんどん現場で変わっていく方なので、脚本通りというよりも、どんどん膨らんでいくことが楽しみです」と頼もしさを見せていた。
園子温版『リアル鬼ごっこ』は、「全国のJK(女子高生)」がターゲットに。7月11日より全国公開される。(編集部・小松芙未)