篠田麻里子、着地に失敗してケガ…『リアル鬼ごっこ』撮影の舞台裏
今年1月30日、園子温版『リアル鬼ごっこ』の撮影が栃木県の大谷採石跡・稲荷山で行われた。園監督は台本にない演出を自らの体を使って女優に伝える。雪の積もる寒さの中、その姿には熱がこもっていた。アドリブにも「はい」の一言で監督の要求に応えるのは、主演の一人、トリンドル玲奈。追加のセリフもその場で覚え、激高する演技も難なくこなした。そんなトリンドルと共に主演するのは、篠田麻里子と真野恵里菜。モデルとアイドル出身の3人がこの日、顔をそろえ、撮影の舞台裏を明かした。
トリンドルが女子高生のミツコ、篠田が女子高生ながらなぜか花嫁にされるケイコ、真野が陸上部のいずみにふんする映画『リアル鬼ごっこ』。山田悠介のベストセラー小説を原作に、園監督のオリジナル脚本で「全国の女子高生」がターゲットになった新『リアル鬼ごっこ』だ。
ジムには通っているものの運動不足だというトリンドルは、撮影前に年末年始の休暇を返上してランニングや体幹トレーニングを行った。「こんなに体を張っているのは初めてです(笑)」と筋力が付いた体の変化を明かしながら、「園監督の作品は、セリフをセリフっぽくなく本当に言っている感じがするんです。そういうふうに、ちょっとでも近づけたらいいなって思います」とやる気をみなぎらせた。
日頃からあまり呼ばれることのない「麻里ちゃん」という呼び名で園監督に呼ばれ、「それだけですごくうれしい」と喜んだのは篠田。いつかアクションをやりたいと思い、キックボクシングを習っていたという。実際にやってみると、アクションは「当てない」動きで格闘技とは全然違っていた。稽古のときから体を痛めていたといい、「1回目の撮影のときに着地に失敗して筋を痛めてしまって」と明かすと、「少し納得いかないところはあるんですけど、アクションはすごくやりたかったので、この上ない仕事だなって。すごく楽しい」と充実感をにじませた。
AKB48時代に培った能力も映画で発揮されている。「カメラを意識した見せ方や角度は、体に染み込んでいるので無意識にできる。それはやっぱり強みかな。お芝居に関してはアイドル時代の経験は関係なく、篠田麻里子として一生懸命やるだけかなと思っています」
トリンドルや篠田とは違い、園作品への出演経験が豊富な真野。マラソンランナーという役柄上、必死に走ることも重要だった。「他のランナーを抜かすシーンのときに、日もだいぶ落ちてきてしまって焦っていたのですが、前を走るトラックに乗っていた園監督の帽子が風に乗って目の前に転がってきて。絶対に使えないカットだろうけど、止まったら怒られるかなと思って(笑)、とりあえず走り抜けました」というかわいらしいハプニング話も披露した。
真野には作品に込めた願いもある。「男の人が必死に頑張ってボロボロになってかっこいい姿を見せる映画は多いと思うんです。女性のそういう映画はあまりないので、女子だけでもかっこよくて、かわいさもある強い作品ができるということを表現できたらいいな」(編集部・小松芙未)
映画『リアル鬼ごっこ』は7月11日より全国公開