北京国際映画祭が華々しく閉幕!園子温『ラブ&ピース』は受賞ならず
中国・北京で開催されていた第5回北京国際映画祭のクロージングセレモニーが現地時間23日、北京市郊外の雁栖湖国際会議場で行われ、メキシコ映画『ザ・ビギニング・オブ・タイム(英題) / The Beginning of Time』(ベルナルド・アレラノ監督)がコンペティション部門「天壇奨(Tiantan)」でグランプリを獲得した。日本映画として初めて同部門に選出された園子温監督の『ラブ&ピース』は惜しくも受賞を逃した。
中国の映画文化を促進するため2011年に創設され、今年で5回目を数える北京国際映画祭。第3回からは、コンペティション部門の「天壇奨(Tiantan)」が設置され、今年は90か国以上から930本の映画がエントリー。そのうち15本が同部門に選出された。審査員は、リュック・ベッソン(フランス、監督)、ピーター・チャン(香港、監督)、ジョウ・シュン(中国、女優)、キム・ギドク(韓国、監督)、フェルナンド・メイレレス(ブラジル、監督)などそうそうたる面々が務めた。審査員長を務めたベッソン監督は「今日選ばれた作品はどれも素晴らしく、賞に値する作品ばかりだ」と自信を見せた。
グランプリを獲得した『ザ・ビギニング・オブ・タイム(英題)』は、90歳という高齢の夫婦の社会保険が停止され、困窮するさまを描き出した作品。ベッソン監督とジャッキー・チェンが最優秀作品賞のプレゼンターを務め、『ザ・ビギニング・オブ・タイム(英題)』の名を読み上げると、客席に座っていたアレラノ監督たちは拳をあげて大喜び。舞台に上り、トロフィーを受け取ったアレラノ監督は「北京国際映画祭に感謝します」と言うや感極まった様子。さらに続けて「本当に素晴らしい賞だ。参加した監督、作品ともに全てがグレイト。ありがとう」と謝辞を述べ、会場から祝福の拍手を浴びていた。
また、監督賞を受賞したのは、モンゴルに来た青年が狼に魅入られるさまを描いた中仏合作映画『ウルフ・トーテム(英題) / Wolf Totem』のジャン=ジャック・アノー監督。ステージに登壇したアノー監督は「この映画を成功させるために、プロデューサーたちの努力や忍耐が必要とされました。本当に皆さんに感謝したい。そして何より僕の友人である審査員のリュック・ベッソンにも感謝したい」と述べて、会場の喝采を集めていた。
今年の北京国際映画祭は4月16日に開幕。ハリウッドスターのアーノルド・シュワルツェネッガーがオープニングセレモニーに来場し話題を集めたが、この日のクロージングセレモニーには歌手で女優のヴァネッサ・ウィリアムズが来場し、ディズニー映画『ポカホンタス』の主題歌「Colors of the Wind」を熱唱。近年、著しい経済成長を背景に、ハリウッドとの親密さを強める中国の勢いを感じさせる映画祭となった。(取材・文:壬生智裕)