人を食ったって、本当か?塚本晋也が映し出す戦争…『野火』特報公開
映画『鉄男 TETSUO』『悪夢探偵』などで世界的に知られる塚本晋也監督が手掛けた戦争ドラマ『野火』から、衝撃的なセリフが耳に残る特報映像が公開された。
原作は、「俘虜記」「花影」などで知られる作家・大岡昇平が1951年に発表した同名小説。第2次世界大戦末期のフィリピン・レイテ島に取り残された日本軍の戦いと、肺病のため部隊を追われた一人の兵士の姿を追う。第71回ベネチア国際映画祭コンペティション部門に正式出品されたほか、第19回釜山国際映画祭、第15回東京フィルメックスなど各国映画祭で上映され、称賛の声を集めた。
公開された特報に映し出されるのは、塚本監督が自ら演じる、主人公の1等兵・田村のやせ細った姿。目の前に立つ兵士に、「ニューギニアで人を食ったって、本当か?」と衝撃的な問いを投げ掛ける田村の幽鬼のような青い顔とうつろな瞳、そして黙して語らない相手の兵士の表情が、劇中で描かれるであろう、むごたらしい戦場の現実を予感させる。短い映像ながら、製作・監督・脚本・撮影・編集・主演を一人で務め、限られた過酷なスケジュールの中で本作を完成させた塚本監督の情念が画面から伝わってくるようだ。
本作には塚本監督のほか、『そして父になる』のリリー・フランキー、『るろうに剣心 京都大火編』『BULLET BALLET バレット・バレエ』などの中村達也、新人俳優の森優作らが出演。塚本作品らしい、ベテランから若手までが入り交じった個性派俳優陣の共演にも期待が高まる。(編集部・入倉功一)
映画『野火』は7月25日より渋谷ユーロスペースほかにて公開