特撮の神様・円谷英二の名を世界に知らしめた『ゴジラ』シリーズ昭和編の魅力に迫る!
ギャレス・エドワーズ監督によるハリウッドリメイクによって再評価された和製特撮シリーズの代表作『ゴジラ』。クールジャパンの一つとして、今なお世界中を熱狂させている『ゴジラ』昭和版シリーズの魅力を検証した。
『ゴシラ』が生まれたのは1954年(昭和29年)のこと。原子力という当時の世界的な脅威をベースにした怪獣パニックは観客に驚きをもって迎えられ、それはジワジワと世界にも伝染する。エドワーズ監督の最新版が、それを踏まえて原発問題に切り込んだのは、このオリジナル版に敬意を表してのことだ。
何よりも衝撃的だったのは、「特撮の神様」と呼ばれた円谷英二の手による革新的なビジュアル。怪獣が登場する映画は、それまで人形アニメーションを駆使して作られるのが常だったが、円谷は特殊スーツを作り、その中に演者が入るという技法を採用。これによって、どこかぎこちない人形アニメとはひと味もふた味も異なる、滑らかな怪獣の動きを実現させた。当時は、ハリウッドでもモンスタームービーでは人形アニメを駆使するのが当たり前。それゆえ、子供の頃に『ゴジラ』を観た、かのスティーヴン・スピルバーグも、この怪獣のスムーズな動きに大きな衝撃を受けたという。
その後、『ゴジラ』はシリーズ化され、円谷は10作で特撮に携わり、モスラやキングギドラといった現在でも人気のある怪獣を敵役として創造。当初人類の「敵」であったゴジラは人気を受けて「味方」へとシフトし、幅広い客層に受け入れられていった。エドワーズ監督の最新版は、この昭和版シリーズの「善玉」バージョンにも目配りしている。
さすがに、最新ハリウッド版のゴジラは着ぐるみではなくCGで作り上げられたが、モーションキャプチャー技術が導入されており、俳優の演技がゴジラの動きのベースとなっていることに変わりはない。『ゴジラ』シリーズ昭和版の魅力、それは現在も受け継がれている円谷の特撮スピリットといえるかもしれない。(文・相馬学)
映画『ゴジラ』シリーズ昭和編は5月11日午後7:00よりWOWOWシネマにて一挙放送