天海祐希、女優として舞台に立つ覚悟「プレッシャーはあっても言わない」
劇団☆新感線の舞台を何十台ものカメラで撮影し、映像的演出を加えて上映する「ゲキ×シネ」。その最新作『ゲキ×シネ「蒼の乱」』で主演を務めたのは、女優・天海祐希だ。宝塚出身で舞台やテレビ、映画で輝き続ける天海が同作に懸ける思い、仕事に対する姿勢を明かした。
天海が劇団☆新感線の舞台に出演するのは、「薔薇とサムライ」以来、4年ぶり3回目。今回は座長でもあったが、「プレッシャーなんて、あっても言いませんよ(笑)。わたしたちは『何でもないですよ』『全部できますよ』という顔をしてやるのがお仕事なので」と笑い飛ばしつつ、「でも、大きな仕事を頂いたら、必ず責任は伴うし、プレッシャーだってあってしかるべきだと思うんです。ちゃんとしんどい思いをしなければ、お客さんから拍手を頂いちゃいけない。それと引き換えにいい思いをさせていただけるんですから」ときっぱり。
そこには「本名のわたしで出たってどうにもならないわけで、役という形で誠実に存在できるように腹をくくる。皆さまの前に立って何かをやらせていただくって、そういうことだと思うんです」という思いが。だからこそ自身が出演した舞台が「ゲキ×シネ」となって客観的に観ることができるのはうれしいそうで、「まあ、反省ばっかりですけどね(笑)。でも、悔しく思ったり、後悔するのって、次につなげていくための糧だから必要なことだと思うんですよ。そう思わないと成長しないでしょ?」と天海。その言葉からは、観客の期待に応えるため、そして自身が負う責任と向き合うために、常に高みを目指している姿が垣間見える。
その一方で、「意気込みは毎回あります。でも、どの作品も同じように頑張らないといけないから、『蒼の乱』だから、劇団☆新感線だから、と特別に意気込んだりはしないです。体調管理など常にやっていることをきちんとやるだけ」と作品に臨む姿勢は力まずフラット。あれだけ激しく、人々を魅了する役に挑みながらも、「わたしは役に入り込んじゃうタイプじゃないので、カーテンが閉まった瞬間には普通に戻っていますよ。それに、舞台袖にいるときも(普段の)天海祐希です(笑)」と冷静に自身や周囲を見つめる目を持ち合わせている。
心の中に常に燃えるものを持ちながら、冷静さを失わない。そして、女優・天海祐希という名を背負い、どんなときも自分に厳しく、全力で仕事に向き合う。だからこそ天海は輝き続けるのだろう。(取材・文:小島弥央)
映画『ゲキ×シネ「蒼の乱」』は5月9日(土)より全国公開