シシド・カフカ、歌手か女優か ゾンビ役で新境地「振り切れた」
歌手でドラマーのシシド・カフカが、品川ヒロシ監督最新作『Zアイランド』で、血まみれになりながら暴れまくる白衣姿のゾンビを熱演している。かつてはミュージシャンでありながら、演技の世界に足を踏み入れることに戸惑いを感じていたというシシドだが、本作でここまで振り切れた理由は何だったのか。ドラマ「ファーストクラス」(フジテレビ系)で女優デビューし、役者としてのオファーが後を絶たないというシシドが現在の心境を語った。
芸能生活30周年の哀川翔を主演に迎えた本作は、とある島を舞台にヤクザとゾンビ軍団が渾然一体となってバトルを繰り広げる異色のサバイバルアクション。シシド演じる直美は、島の診療所で働く看護師で、ある日突然、島に大量発生したゾンビにかまれ、白衣を血まみれにしながら逃げ惑い、最後は自らがゾンビ化してしまう過激な役だ。シシドは「最初にオファーを頂いたとき、何でわたしがゾンビなの? と思いましたが、そこまで振り切れたら逆に面白いかも」と快諾したという。
撮影自体は「ファーストクラス」よりも先に行われていたため、シシドとしてはこれが演技初体験。多少緊張もあったというが、「監督がわたしの役を自身で演じながら教えてくれたので、とても助かった」と感謝しつつ、「全身特殊メイクという“仮面”を頂いたこともリラックスできた大きな要因。恥ずかしさも感じず、完全に振り切れた」と述懐する。
音楽と演技のはざまで揺れていた……そんなことがうそのように「振り切れた」シシドだが、「以前は演技をやることで、ミュージシャンとしての自分がブレてしまうんじゃないかという不安もありました。でも、今は知らない世界で経験したことが必ず音楽に返ってくると、少しずつ考えられるようになった」と心境の変化があったことを告白。
さらに「わたしの軸は、あくまでもミュージシャン。女優のオファーも『ミュージシャンのシシド・カフカ』を誘っていただいていると思っているので、面白いものがあれば、守りに入ることなくチャレンジしてみたい」と目を輝かせながら、「ただ、インパクトの強い悪女(「ファーストクラス」)とゾンビをやったあとなので、これを超えるものってあるのかな?」とジョーク交じりに将来を案じた。
ちなみに、普段はドラムを華麗にたたくシシドだが、運動はまるでダメとのこと。「こう見えて、体がすごく硬いんです。(撮影で)病院を走り回ったり、トラックから落ちたり、投げ飛ばされたり、ケガをするんじゃないかってドキドキでした」。知れば知るほど味が出るシシドの魅力は、どうやら彼女が持つイメージの対極にありそうだ。(取材:坂田正樹)
映画『Zアイランド』は5月16日より全国公開