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テリー・ギリアム、努力して考える観客を大事に…東京に影響を受けた新作公開!

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「ハリウッドは人間をバカだと思い込んで、ゴミみたいな映画を作り続けている」と語ったテリー・ギリアム監督
「ハリウッドは人間をバカだと思い込んで、ゴミみたいな映画を作り続けている」と語ったテリー・ギリアム監督 - 写真:小林真里

 近未来を舞台にしたクリストフ・ヴァルツ主演の哲学的SFドラマ『ゼロの未来』を引っ提げ来日した巨匠テリー・ギリアム監督が、同作と監督哲学について語った。

映画『ゼロの未来』フォトギャラリー

 この映画に魅了された理由について、「脚本を読んで、キャラクターも素晴らしいし話も面白いと思った」と語るギリアム監督。「われわれが生きる今の世界を描いていたからね。(ネットなどを通じ)人とつながりやすくなった世界を避けることで、人はより孤立するのではないか? ということを提起している。相互コミュニケーションは取りやすくなったけど、良い面も悪い面もあるんだよ」と新作のテーマを解説してくれた。

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 監督の代表的なSF『未来世紀ブラジル』『12モンキーズ』のディストピアとは異なり、『ゼロの未来』の舞台はユートピアだ。「東京のユートピア(理想郷)ぶりを反映させたんだよ。みんな忙しそうに走り回っていて、幸せそうで」と東京の街からの影響を告白。「で、主人公コーヘンはそんな世界で仕事に深い意味を求めてしまう。実際には誰も、Googleの社員だってそんなこと考えないのに。仕事があるだけで幸せだから、自分が何をやっているかは気にもしないんだ」と本作の現代風刺的側面について語った。

 ギリアム作品は観る者の知性を刺激する複雑で野心的な映画ばかりだ。この意図を尋ねると、こんな答えが。「ハリウッドは人間をバカだと思い込んで、ゴミみたいな映画を作り続けている。残念なことに観客もそういう映画を観に行く。でも知的な観客も存在する」。努力して考え、映画の意味を探求する人たちだ。「わたしはそういう人たちに向けて映画を作るのが好きなんだ。だから人に思考させるため自分を駆り立てるんだよ。ちゃんと頭を使って物事を考える人がいれば、基本的に社会は健全だからね」。

 ギリアム監督の作品を観ると常に「人生の意味」を考えさせられるが、監督は74年間生きてきて人生を探索し、その答えを見つけたのだろうか?「若い頃のわたしならわかっていただろうけど、今はもう答えられないね」と苦笑しながらも「人生で最大の驚きは、わたしは若い頃は家族も子供も欲しくなかったけど、今は3人も子供がいる。最高だよ。子供たちのいない人生なんて絶対に想像できないね」とその人生で得た子宝の大切さを教えてくれた。(小林真里)

映画『ゼロの未来』は5月16日より全国公開

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