『アラジン』没曲&キャラクター秘話!ブロードウェイ人気演出家が告白
劇団四季最新ミュージカル「アラジン」の開幕に合わせ、ブロードウェイ版で演出・振り付けを担当しているケイシー・ニコロウが初来日。22日、電通四季劇場[海]で行われた合同取材会に来場し、舞台版の手応えや原作映画でカットされた要素を舞台版に持ち込んだ秘話について語った。
本舞台のベースとなったのは、1992年に大ヒットを記録したディズニーの同名アニメーション映画。そんな原作から舞台版に翻案したニコロウは、「映画のスピリットを維持しつつ、どうやって演劇作品としてのスピリットを持たせられるか考えないといけない。映画そのものに忠実にしようとしすぎると、逆にいい作品にならないんだ」と明かす。
さらに「もともと映画版は、最初はミュージカルコメディーとして作られたんだけど、製作中、いくつかの曲や登場人物がカットされてしまった。それが理由で映画版ではアクションアドベンチャーの要素が強くなってしまった。だからわれわれは、舞台版でミュージカルコメディーのハートを取り戻したかった」と力強く述べる。
「モンティ・パイソンのスパマロット」(振り付け・2005年)などの舞台作品でトニー賞を獲得し、ドル箱演出家として名高いニコロウ。今月18日からは四季版の稽古も指揮しており、「自分の作品が違う言語で上演されるというのは初めての経験だよ! 何がエキサイティングかって、違う言語なのに物語が伝わるということ。具体的に何が起きているのかもわかるし、演じ手のエネルギーもわかる。お客さんが、自分が演出した意図と同じタイミングで反応しているのもわかる。この作品のハートがしっかりとマッチしているのもわかるんだ」とパワフルに語っていた。
その後も舞台版の美術や、キャラクター・ジーニーに対する思い入れ、シンメトリーを意識した演出、「モンティ・パイソンのスパマロット」で組んだエリック・アイドルから学んだこと、未発表曲のバラードについての思いなど、日本語の通訳が訳し終えるのを待ちきれないといった様子で、早口でエネルギッシュに話し続けるニコロウ。そんな中、「魔法のじゅうたんのシーンはどうやって飛ばしている?」という質問には、ニコロウは「あれかい? 演劇の魔法だよ!」と満面の笑みを浮かべて答えていた。(取材・文:壬生智裕)
ミュージカル「アラジン」は5月24日より電通四季劇場[海]にて開演