名匠ホウ・シャオシェン監督、俳優・妻夫木聡の魅力&キャスティング理由を明かす!次回作のオファーも
第68回カンヌ国際映画祭
現地時間21日、第68回カンヌ国際映画祭が開催中のフランス・カンヌで、『悲情城市』『戯夢人生』などで知られる台湾の名匠ホウ・シャオシェン監督が俳優の妻夫木聡と共に取材に応じ、コンペティション部門に出品されている映画『黒衣の刺客』に日本から妻夫木をキャスティングした理由や彼の魅力について語った。
二人の出会いは2005年の第10回釜山国際映画祭とのこと。主演映画『春の雪』で映画祭に参加していた妻夫木と出会ったホウ監督は、「非常に魅力的で、日差しのような、すごく親しみやすい人」だと感じ、そのころから一緒に作品を作りたいと思っていたという。
そして本作のオファーが来たときのことを妻夫木は「まさかホウ監督からオファーがあるとは思わなかったので、最初は本物なのか? と疑いました(笑)」と述懐。「この通り気さくで、僕自身の人間性を見て役に反映してくれ、作品に深みを増す撮り方をしてくれる方なので、やっていてすごく新鮮で刺激的な現場でした」と名匠との仕事を振り返った。
本作は、唐代の中国を舞台に、暗殺者として育て上げられた女刺客・隱娘(スー・チー)の悲しい宿命を描いたアクション時代劇で、妻夫木は隱娘と出会うことになる難破した遣唐使船の日本人青年にふんしている。
ホウ監督は「自分はあまり芝居を付けないタイプ。妻夫木さんは自主的で、自分でそこに生きてくれる人だった」と切り出すと、「非常によく演じてくださったと思いました。雰囲気を感じてくれて」と絶賛。「台湾で仕事をしていても、『こうやって演じてください』と言わないとやりづらいという俳優の方が多いんですが、僕はそういうやり方をしないので、そういう意味でとても仕事がしやすかったです」と妻夫木との仕事に満足げだった。
そんな作品でカンヌ映画祭に初参加することになった妻夫木は、「いつかは来てみたいと思っていたのでうれしいです。僕は『一期一会』という言葉が好きなのですが、人との出会いや作品との出会いって一期一会の気持ちでいれば、まためぐりめぐってそういうことが起こるのかなって痛感した1日になりました」と感慨深げ。最後にホウ監督から「今度日本映画作りましょう! いっぱい考えているんです」と声を掛けられると、「いつでも! ぜひ!」と即答した。
また同日には、カンヌ国際映画祭で同作の公式上映も行われた。上映後、ホウ監督、スー・チー、チャン・チェンらと共に盛大なスタンディングオベーションを受けた妻夫木は、満面の笑みでそれに応じていた。(編集部・市川遥)
第68回カンヌ国際映画祭は24日まで開催