『攻殻機動隊』草薙のオンザ眉毛には賛否!?総監督が明かす女性にも魅力的なヒロイン像とは?
2013年から順次公開された『攻殻機動隊ARISE』で4作にわたって総監督、キャラクターデザインを務めてきた黄瀬和哉が、『攻殻機動隊』最新作『攻殻機動隊 新劇場版』に至るまでの道のりを振り返った。
映画『攻殻機動隊 新劇場版』は、天才ハッカーにして、超人的身体能力を持つサイボーグ、草薙素子の若かりし日々と、彼女が率いる公安9課こと「攻殻機動隊」の誕生を描いた物語。新シリーズ製作のきっかけは、原作者である士郎正宗から送られてきたプロットの中に、素子の出自が書かれていたことによるという。
はじめは「原作漫画にも描かれていない、こんなに大胆なことをホントにやっちゃっていいのか」とためらいがあったという黄瀬総監督は、素子を若返らせることで全く新しい物語を構築。声優のキャスティングまで一新させた。「そこまでやらないと今までの焼き直しに近いものしか作れないなと。世界観もキャラクターもすでに完成してしまっているので、それを何とかぶち壊してやろうと。さすがに若い素子の前髪パッツン姿はいろんな方面から責められましたけど(笑)」と経緯とその反響を明かした。
この『新劇場版』につながる『攻殻機動隊ARISE』シリーズ4作は、それぞれサスペンス、アクション、ラブストーリーなどエピソードごとにテーマを打ち出すというスタイル。「各章の監督それぞれの個性を出してもらおうという発想ですね。総監督としてはそれを遠くから冷静に眺めているという立ち位置で、現場に出るなとも言われたくらいで」という黄瀬総監督が、自ら監督を務めた第3作『border:3 Ghost Tears』のテーマは、ラブストーリーだった。
「生足を描きたかったんですよ、素子の。だから足が出てくるようなシチュエーションをくださいとお願いして。あとデート映画になればいいなあと思っていたんですよ。女性から見てカッコイイ素子、かわいい素子が表現できたらいいなあ、と」と若かりし素子に込めた思いをあらためて振り返る黄瀬総監督。ちなみに『新劇場版』の監督を務める、野村和也が打ち出してきたテーマは「青春と卒業」だったという。
『新劇場版』の見どころについては、「20年前の『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995)のときよりもビジュアルでSF感を出すのはかなり難しくなってきていますが、若い素子はもちろん、彼女から“パーツ”扱いされる攻殻機動隊のメンバーたちのドラマを描くことで、見応えのあるSFに仕上がっている」とのこと。「今までの作品も見返してもらえるような作品になっていると思う」と笑顔で自負する通り、本作にはこれまでシリーズを見守ってきたファンを満足させるであろう要素がタップリと詰め込まれている。(取材・文:永野寿彦)
映画『攻殻機動隊 新劇場版』は6月20日全国公開