関根勤、初監督作に込めた喜劇復権への思い 目指したのは「合いびきハンバーグ」
映画『騒音』で初めて映画監督にチャレンジしたタレントの関根勤が、コメディー映画への思いを語った。
これまで映画について語った著書をいくつも出版するなど、映画好きとしても広く知られる関根だが、映画監督にチャレンジしたのは、40年を越える芸能生活においても今回が初。「最初はプレッシャーもありましたが、やってみて、こんなに楽しいことが世の中にあったんだなと。今まで自分の中で膨らませ続けてきた妄想が具現化されるわけですから、こんなにぜいたくなことはないですよ」と満足げな表情を見せる。
突如現れた謎の地底人から街を守るべく、5人の中年男が戦う姿を描いた本作には、これまで関根が感動してきた映画にささげたという、100のオマージュが投入されている。まさに関根ならではの世界観が色濃く投影された作品となっており、「かつて日本映画界にきら星のごとくあった喜劇映画が、今は少なくなっている。でも僕はこれまでコメディー映画に支えられてきたと思っているんで、たくさんの人に、コメディー映画っていいなと思ってもらいたいんですよ」と作品に込めた思いを語った。
小さい頃は母や兄弟に連れられて映画を観ていたという関根。東映のチャンバラ映画が好きだった母。日活の無国籍アクションが好きだった長男。大映の『座頭市』などが好きだった次男。そんな家族と一緒に、浴びるように映画を観てきた関根。自身は、やがて中学生になり、「無責任男」シリーズなどに代表される東宝のクレージーキャッツ映画に魅せられていった。
温水洋一、村松利史、酒井敏也という個性派俳優たちと、飯尾和樹(ずん)、岩井ジョニ男といった芸人たちがコラボする本作のキャスティングについて、「東宝喜劇は、演技のうまい俳優さんと、芸人さんとのハーモニーがたまらないんですよ。意識はしましたし、僕の中にずっと流れているもの」と語る関根。「喜劇人だけで作るとグイグイいっちゃうし、役者さんだけだと洗練されすぎてしまう。だからこの映画では牛と豚の両方を混ぜ合わせた、合いびきハンバーグを目指しました。いい具合に混ざっていい味になりましたね」と自負してみせた。(取材・文:壬生智裕)
映画『騒音』は全国順次公開中